山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師

 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「日本が出遅れるワクチン3回目接種」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

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 つい先日、ようやく3回目の接種の日程の案内が来ました。2回目の接種が5月18日でしたので、ちょうど8カ月後に3回目の追加接種となりそうです。

 厚生労働省の「追加接種(3回目接種)についてのお知らせ」によると、現時点での接種の対象者は、「2回目接種を完了した日から原則8カ月以上経過した18歳以上の人」です。ただし書きとして、「感染防止に万全を期する観点から、医療従事者等や重症化リスクの高い高齢者施設入所者等は、接種間隔を6カ月に短縮するとともに、その他の高齢者は、令和4年2月以降、接種間隔を7カ月に短縮することを、政府の方針として示しています。」と添えられています。

  先月初めに報告された新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の流行を受け、世界の多くの国で3回目の接種(ブースター)が加速して進んでいます。Our World in Dataによると、日本を除くG7の国々は、8月末から9月末にかけてブースター接種を開始しています。12月23日時点でブースター接種を終えた人口の割合は、イギリス47.3%、ドイツ35.5%、フランス29.8%、イタリア27.9%、アメリカ19.4%、カナダ15.1%です。オミクロンの流行を受けて、アメリカは2回目の接種から6カ月が経過した18歳以上の全員、イギリスは2回目の接種から3カ月以上経過した18歳以上の全員が対象となっています。

  日本を除くG7の国々に先駆けて3回目の追加接種を開始していたイスラエルでは、12月25日時点で人口の45.1%がブースター接種を終えています。世界に先駆けてワクチン接種を進めているイスラエルは、ワクチンに関する多くの貴重な結果を報告しています。例えば、Ariel氏らによると、2回目のワクチン注射から3週間以上経過するも3回目の新型コロナウイルスワクチン未接種で Covid-19既往歴のない18歳以上のイスラエルの成人で、2021年5月15日から9月17日の間にPCR検査を受けた8万3,057人を対象としたところ、調査期間中、9.6%が陽性であり、2回目接種後21~89日のCovid-19の感染率は1.3%、90~119日では2.4%、120~149日では4.6%、150~179日では10.3%、180日以上では15.5%でした。

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山本佳奈

山本佳奈

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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イスラエルは既に4回目接種も視野に