セ・リーグとパ・リーグのバランスが良いというのも特徴的だ。リリーフでは抑えの佐々木が全盛期を迎えている。1995年からは4年連続で最優秀救援投手を獲得しており、1997年と1998年は防御率0点台とまさに完璧な投球を見せている。佐々木に繋ぐ高津も大舞台に強く、河本、野村という左の速球派がいるのも大きな強み。また第2先発が想定される斎藤と吉井の二人も先発、リリーフ両方で実績を残している点を重宝して選出した。

 捕手は古田が球界ナンバーワンの座を不動のものにしていた時期である。1990年代の10年間で一度も盗塁阻止率が4割を下回らなかったというのは驚異的である。谷繁はちょうどこの時期から古田を追う存在となり、伊東はベテランとしてまだ存在感を示していた。同じ時期にこれほどレベルの高い捕手が3人揃うというのは、過去にもないことである。

 野手は冒頭でも触れたイチローが1番、松井が4番と軸を早々に固定できることが大きい。この二人の登場が、この後の左打者偏重に繋がっていくことになるが、この時期はまだ右打ちの好打者も揃っている。江藤は広島の主砲として全盛期を迎えており、小久保は若手のスラッガーとしてちょうど頭角を現した時期にあたる。左右のバランスを考えてこの二人が松井を挟む形をとった。

 また打てるショートが増えた時期でもあり、野村と石井の二人を選出。江藤の守備に少し不安があることから野村をサードに回したが、ともに90年代を代表するショートであることは間違いない。

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人材難のセカンドもこの時代なら安心