一点だけ注意をいただきたいのは、他人に対して「あなたはおかしいから発達障害の検査を受けなさい」と言うのはおやめください。そう指摘する人が発達障害について学び、理解を深めて、本人との関係を考え直せばいいのです。くり返しになりますが診断を受けるのはレッテルを貼るためではありません。あくまで自分に対する理解を深めるため。生活を楽にするための工夫や支援を受けやすくするためです。

 それでは最後にADHDの代表的な症状を紹介します。国立精神・神経医療研究センターによれば、各項目(不注意と多動・衝動性)の9つの症状の中で6項目以上に該当し、それらが6か月以上継続、かつ家庭や学校など2つ以上の環境で、生活や学業に悪影響をきたしているときにはADHDの可能性があります。

■不注意

・学業・仕事中に不注意な間違いが多い。

・課題や遊びの活動中に、注意を持続することが出来ない

・直接話しかけると聞いていないように見える。

・指示に従えず、業務をやり遂げることが出来ない

・課題や活動を順序立てることがむずかしい

・精神的努力の持続を要する課題を避ける、いやいや行う

・失くし物が多い

・他の刺激によって気が散りやすい

・日々の活動の中で忘れっぽい

■多動・衝動性

・手足をそわそわ動かしたり、いすの上でもじもじする

・授業中に席を離れる

・不適切な状況で走り回ったり高いところに登ったりする

・静かに遊べない

・まるでエンジンで動かされているように行動する

・しゃべりすぎる

・質問が終わる前に出し抜けに答えてしまう

・順番を待てない

・他人の邪魔をする 

(国立精神・神経医療研究センターHPより)

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石井志昂

石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた

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