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これからのビジネスパーソンに必要な共創力って何!?

構成/株式会社POW-DER 座談会・取材原稿/松田明子 イラスト/Eika デザイン/スープアップデザインズ
制作/朝日新聞出版メディアプロデュース部ブランドスタジオ 企画/AERA dot. AD セクション

part1 part2 アンケート

地球の裏側の人と仲良くなるには?

コロナ禍にウクライナ問題、世界的な物価高……。グローバル化した世界は、国際社会が一丸となって取り組まなければならない課題に満ちている。
いま求められているのは、「日本」という枠組みを飛び越え、世界とつながる「共創力」ではないだろうか。大学と企業が語り合った。

早わかり!これからのビジネスパーソンに必要な「共創力」って何!?
GRAPHIC RECORD

座談会参加のみなさん

【MY GLOBAL PROFILE 】
“グローバル”にまつわる「私の◯◯」を聞きました!

山本俊一郎

大阪経済大学

学長

やまもと しゅんいちろう さん

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磯貝 健

国際教養大学

常務理事 副学長

いそがい けん さん

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西澤 茂

上智大学

高大連携担当副学長
経済学部経営学科 教授

西にしざわ しげる さん

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佐々木 諭

創価大学

グローバル・シティズンシップ・プログラム ディレクター 看護学部長 教授

さとし さん

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嵯峨濃 結

アクセンチュア株式会社

テクノロジー コンサルティング本部
シニア・マネジャー

ゆい さん

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貞閑明彦

株式会社アシックス

執行役員
人事総務統括部長

さだ あきひこ さん

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木村 恵子

AERA編集長

木村 恵子

グローバルな視点=「80億人」の目線で考える

あらゆる人を巻き込み1+1を100にする

木村恵子(AERA編集長) これからの社会を生き抜くための「共創力」とは、具体的にはどのような力だと思われますか。

共創力は「1+1」を5や10、さらには100にする。

佐々木 諭さん(創価大学) 前提として、大きく二つの点が挙げられると思います。一つは、「1+1」を2ではなく、5や10、さらには100にしていける力だということ。もう一つは、何のために共創力を生かすのか考えることです。つまり、個々の幸せや目標の達成のみならず、それを超えて社会益・人類益に尽くそうと考えたときに、初めて共創力が生きてくるのではないでしょうか。その上で具体的に考えますと、まず挙げられるのは、あらゆる人を巻き込むために必要な「ビジョンを示す力」。また、「異質」、つまり「異なる考え」を受け入れて自分の考えを広げていく力も欠かせません。さらに、自身の強みの土台となる「専門性」。最後が、異なる意見をまとめていく「ファシリテーション力」※1です。本学の「グローバル・シティズンシップ・プログラム」※2は学部横断型であり、卒業生は、弁護士や外交官、国家総合職、日系・外資系の企業、また海外の大学教員など、多岐にわたる分野で活躍しています。海外の方々と協力して働くなかで自分の力を高め、信頼を得ることでさらにキャリアを拓いていく。そんな好循環が生まれているようです。

※1 会議などにおいて、多様な意見を理解・整理して合意形成を促し、問題の解決策や新しいアイデアといったゴールを導き出す能力。

グローバル・シティズンシップ・プログラム [創価]

※2 グローバル・シティズンシップ・プログラム [創価]
通称「GCP」。学部横断型の選抜プログラムで学生はそれぞれの学部に所属しながら、放課後にGCPの授業を受ける。2年間の集中型授業で、実践的な英語力と汎用的なアカデミックスキル(問題分析力、論理的思考力、問題解決力など)を鍛える。1年次の春休みに海外短期研修があり、3年次には多くの学生が海外留学に挑戦する。

西澤 茂さん(上智大学) まず言えることは、様々な価値観、つまり他人を理解する前に、自分を理解しなければならないということです。例えば、本学が立ち上げた「アイランド・サステナビリティ研究所」※3においても、日本の各地域の魅力的な文化・風習を見いだしてくれるのは、実は留学生たちです。世界に誇れる日本の文化・歴史の特長を十分に自覚したうえで、それを世界に伝えることができる。これがまず「共創力」の出発点ではないでしょうか。2点目は、「グローバルな視点」です。「国」という意識を超えて、「地球全体」で物事をとらえる。地球の約80億人の人口を、20年後にもサステナブルなかたちで維持するためにはどうすればよいのかという視点を、絶えず持たなければなりません。現在の日本では少子化や人口減が課題ですが、アフリカは人口爆発の状況で、全く異なる課題意識を持っています。そうした自分がいる場所とは違うエリアで起きている事象を、宇宙から地球全体を見るような視点で、トータルで考える。つまり、日本を知った上で、日本が、そして自分がグローバルでどう貢献できるのかを考えることが大切です。本学では国際的なネットワークを駆使し、世界規模の課題と向き合い、理解を深めるための多様なプログラム※4を展開しています。

※3 アイランド・サステナビリティ研究所 [上智]国内外の島しょ地域の持続可能性に焦点を当てた教育研究活動を展開。学際的な専門性と海外ネットワークを生かし、海外連携大学や関係機関と研究に取り組んでいる。

多様なプログラム [上智]

※4 多様なプログラム [上智]
国際機関や海外協定校などの協力のもと、海外での研修やボランティア活動を通じて国際協力の現場を体感する「実践型プログラム」をアフリカやアジアなど世界各地で展開。国内外でのインターンシップ科目や、高校生にも人気の「国連Weeks」「アフリカWeeks」など教育プログラムは多岐にわたる。

相手の文化に飛び込んで“本当の信頼関係”を築く

大切なのは、自分の殻を打ち破る勇気や自信、そして共に過ごす時間。

「運命共同体」として深いところでつながる

磯貝 健さん(国際教養大学) 私は「共創力」には、「表層的」なものと、「深い」ものと、二つあると考えています。表層的な共創力とは、異なる考え方に出合ったとき、真正面から相手を論破しようとするのではなく、まず共通点を見つけようとする力です。一方で、「深い共創力」とは、互いが同じ立場・状況にいて、共感し合うことで初めて実現する力です。私が民間企業でロンドンに赴任した時、スタッフたちは40~50代のイギリス人。急に日本から来た32歳の上司の言うことを聞かず、昼休憩にはパブにビールを飲みにいき、オフィスに戻ってこない日々が続きました。悩んだ末に、ある日私も一緒にビールを飲みに行ったところ、スタッフは、私が日本の規範から飛び出して「こちらの人」になってくれたと感じたようで、深い関係性ができました。そういう「Win-Win」※5以上に深い、運命共同体=「We are in the same boat.」※6というような境地が「深い共創」を生み出す前提だと思います。その境地にたどり着くには、自分の殻を打ち破っていく勇気や自信、さらに互いが一緒に過ごす時間がとても大切だと考えます。

※5 取引する双方に利益(メリット)があること。

※6 「同じ船に乗っている」から転じて、同じ境遇を共にするという意味。

佐々木(創価) 私は10年ほど国際協力に関わってきました。例えば、貧困地域の子どもの死亡率や感染症を軽減するプロジェクトでは、現地の人たちへの教育や意識や習慣を変える取り組みが欠かせません。その際には、その国の行政スタッフさえ来ないような場所に行って、現地の人と行動し、時には現地の言葉で一緒に歌ったり踊ったりすることもあります。そういった関わりを通して運命共同体となり、深い信頼関係を築くことができたと感じています。また、その中で、「現場力」こそ、日本人の強みだと感じるようになりました。つまり現地に行き、現地の人とコミュニケーションを取りながら信頼を得て、プロジェクトを進めていく力です。この強みを理解し、高めていくことも大切だと思います。

グローバル&ローカルの視点で課題解決へ。

ローカルの中にもグローバルはある

山本俊一郎さん(大阪経済大学) 現在は、ウクライナ問題をはじめ、貧困問題、少子高齢化の加速など、国内外を問わず社会課題が山積しています。これまで通りの直線的な考え方では解決できないような課題ばかりで、専門に特化した学問に加え、学際的なアプローチから解決を目指す試みも進んでいます。これからの社会では、新たなアイデア・行動をいかに創っていくかが大切です。その実践的な能力として、「共創力」があると思います。つまり、「A」と「B」を結びつけて新たな「C」を生み出すような力です。また、日本では「海外」のイメージが根強い「グローバル」という言葉ですが、本来は広く地球規模的なものを意味します。日本と海外の差異に着目するだけでなく、一体と捉える視点も重要です。日本の過疎問題は、世界の別の地域で起こっている人口爆発の問題に結びつけることもできます。グローバルとローカルの視点を併せ持ち、目の前にある社会課題を解決に導いていく思考力こそ、共創力へとつながっていくのではないでしょうか。

「上下関係」ではうまくいかない

木村(AERA) では企業の現場では、どのような「共創力」が必要で、その力はどんな風に生かされているのでしょうか。

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貞閑明彦さん(株式会社アシックス) 当社はここ20年で、グローバル比率がぐっと伸びました。私が入社した2002年時の海外売上比率は約40%でしたが、今期の比率は80%を超え、一貫してグローバル化が進んでいます。初期段階では、海外にある程度自立性を持たせて、現地のスタッフを中心に販売を進めていました。しかしその後、さらに生産性を高めるため、管理体制を強めようとした際に、現地と日本本社との間にハレーションが生まれてしまったこともあります。その理由としては、やはり現地の理解が十分に得られていなかったことと、グローバルの需要や価値観を理解しきれずに、本社の意向の押し付けになってしまっていたことがあったと思います。つまり先ほど磯貝先生も仰っていたように、頭でわかっていても実際に行動に移せないと、本当の意味での「共創力」にはつながらない。現地の習慣に溶け込み、本当に同じ立場に立つことの大切さを、経験知として持っています。

嵯峨濃 結さん(アクセンチュア株式会社) 私は現在コンサルタントとして、主にグローバル企業の業務・システム改革に従事しています。その中では、しばしばグローバルで業務の基準を統一してほしいとの要望を受けますが、これには高いハードルがあります。例えば、日本本社では従業員の退職時、人事・上司との退職日調整や面談が必須だとしても、アメリカ支店では風習が異なり、「明日辞めます」と伝えるだけで退職でき、人事・上司との面談は単に余計な作業と受け取られます。地域ごとの業務基準や常識が異なる中で、日本のやり方を押し付けても反発を受けてしまう。この例では「未来の退職者を減らすために、退職理由を今後のために確認するプロセスを入れましょう」という提案であれば納得してもらえるかもしれません。我々の目的は、お客様の事情に合わせて、あるべき姿を合意形成する支援をさせていただくこと。まさにこの部分が、先生方のお話とも重なり、相手との違いを理解して、どのように最適解を出していくのか考える力、つまり「共創力」にあたる力だと感じました。

外国人材を雇用している?

外国人材を雇用している企業の割合は、2014〜18年度は45%前後で推移していたが、22年度は50%を超えた。また、今後の予定も外国人材を「減らす」よりも「増やす」予定の企業が多く、今後も増加する見込みだ。
日本貿易振興機構(ジェトロ) 「2022年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(2023年2月)から作成

多様性を理解することで新しい世界が開く

木村(AERA) 共創力を育むうえで、現在の日本の教育に不足していると感じる点はありますか。

山本(大阪経済) 世の中の多様化の流れに対して、学生への大学の評価方法が変わっていないという現状があります。いまの評価基準は、知識の暗記量や文章の構成力など、従来の考え方の延長にあります。例えば、「場を盛り上げることが上手」といった力は成績上での評価対象になりませんが、共創力においてはとても大切です。多様な学生がいる中で、「コミュニケーション能力」「人間力」などの評価指標をつくらなくてはいけないと感じています。また、今後は「失敗できる環境づくり」も大学に求められると思います。「このルートが難しくても、他のルートがある」と、失敗しながら様々な経験をしていく過程は、共創力にもつながります。本学では「アフリカ大陸を陸路で縦断したい」といった学生独自の挑戦を支援する「高松亨チャレンジ基金」※7を実施しています。学生が冒険し、選択肢を増やしていくためにも、より自由度の高い学びの仕組みづくりを試みているところです。

※7 高松亨チャレンジ基金 [大阪経済]
同大学の元教授・高松亨氏の寄付金により、学生が描く“夢”への挑戦と、可能性を秘めた学生の成長を支援することを目的として2019年度に設立された。受給者第1号の学生は、アフリカ大陸を約2カ月かけて周遊し、就業体験や一般家庭での寄宿を体験。多くの現地の人々と交流した。

「面白い」を共有できる場で共創力は育つ!

西澤(上智) 本学には90以上の国・地域から留学生が集まり、約340校と交換留学協定を結んでいます。積極的な学生はもちろん、そうではない学生でも最初の一歩を踏み出せるように、本学では、学生がとにかく面白いと思える環境・機会の提供に主眼を置いています。人と人が共創する場合には、まず「面白い」という共通の視点を持たないと、なかなか仲良くなれないと感じているからです。本学は、東京の中心に文系・理系の枠を超えた全学部があることで、世界中から多様な学生や教員が集う「グローバル・ワンキャンパス」という唯一無二の環境に恵まれています。海外の人々と話し、多様な生き方・価値観があることを理解し、それを面白いと感じることで、飛躍的に新しい世界が見えてくることがあるはずです。大学での学びや経験の5年後、10年後でもいい。とにかく学生のうちに、面白そうという本能の赴くまま、いろいろなことに自由に挑戦してほしいですね。

磯貝(国際教養) 現在の日本の子どもは、いい点をとらなければという価値観にとらわれて、守りに入っている子が多い。現在の学校教育にある「競争」から、解放するべきなのではないかと思います。これに関連してお話しすると、本学では47都道府県からの学生と世界各地からの留学生が集まり、1年次は全員が学生寮で生活します。そのため、入学当初はいろいろな個性がぶつかり合うこともあります。また、本学では全員が1年間留学※8しますが、希望する留学先へ行くための競争意識も芽生えます。けれども、集団生活をしていると、次第に自分たちの競争が小さなことに思えてくる。みんなが同じ方向を向いて頑張る同志だと気がつくのです。留学する頃には団結し、異国にいる間も互いに励まし合う関係になる。「競争」が「協同」関係に転換するのです。このような経験が、「共創」の源泉になると考えています。

※8 全員が1年間留学[国際教養]
全学生が一定の英語力・成績要件をクリアしてから留学するため、留学時期は学生によって異なり、多くは2年次の冬から3年次の秋にかけて出発し、1年間海外へ留学する。語学留学ではなく、留学先で専門科目を学び、単位を修得することを目的としている。

「異質」との出合いが「共創力」の源になる

木村(AERA) 大学が多様化していくことの重要性を感じます。また、大学に至る前に、受験という点数の競い合いで考えが固くなる学生が出てしまうのは、日本の教育システムの問題点かもしれません。企業の方は、どのように考えられていますか。

嵯峨濃(アクセンチュア) ビジネスの世界でも、日本人は「異質」なものに対する免疫が少ないと感じることがあります。私自身も、以前は欧米の方々との会議で、自分の考えとは違う相手の主張に対して、何も言えなくなってしまうことがありました。本来、一緒に何かを創っていくためには、異なる意見でもまずは相手の意図を考え、対話をしたうえで、すり合わせが必要なところを見極めていくべきです。ただ、自身をふり返ると、同調圧力が強い環境で育ち、異なる意見への対処方法を知らないというところからのスタートでした。これは私に限らず、周囲の日本人の方々も同じ状況だったと思います。各大学が取り組まれているように、もし学生時代から意見を言う機会を得ていれば、状況は変わったのではと思います。

貞閑(アシックス) 日本人には、相手の期待に応えたいという気持ちが強過ぎる面もあるのではないでしょうか。けれど質問に対して、ぴったり当てはまる答えを用意しなくてもいい。自分の発言から、相手が答えを探してくれてもいい。私自身、そんな風にマインドセットを変えてから、海外の方と話すのが楽になったという経験もあります。事業においても、海外スタッフから次々と意見が挙がってくる中で、こちらも本社のものづくりの理念をしっかりと発信して、ぶつけ合えたことが海外での実績につながったと感じています。

どんなスキル・知識が必要?

グローバル経営人材が保有すべきスキル・知識の上位5項目について、「習得難易度が高いと思うもの」という質問では「組織マネジメントスキル」「異文化コミュニケーションスキル」のポイントが高かった。
三菱UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社「大手企業におけるグローバル経営人材の育成に関する実態調査」(2018年4月)から作成

自らゴールを設定して取り組む姿勢が不可欠

木村(AERA) 共創するためには、相手を理解することが大切ですが、「自分を持って話す」ことも非常に重要ですね。最後に、共創力を育むための、大学での取り組みについて教えてください。

佐々木(創価) 学生参加の短期海外研修※9がその一つです。学生は事前準備として、授業において、研修先の国の課題を調査・分析し、その課題の要因の仮説を考察します。その後、実際に現地でフィールド調査をすると、自分たちの仮説が当てはまらないことが多くあります。この気づきによって、現場の声を聴く大切さや、現地の人にとっての「真実」は、実際に現地に行って、自分の目で見て、耳で聴かなければわからないという感覚が身につきます。こういった経験が、いずれは前述した「現場力」につながり、共創力を育む土壌となるはずです。

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※9 短期海外研修 [創価]
GCP(※2参照)に参加する学生は、1年次の春休みに、奨学金による海外短期研修に参加。現地でインタビューやアンケートなどのフィールド調査を行い、研修の最後には英語でリサーチ成果のプレゼンテーションを行う。

西澤(上智) サステナビリティ推進に関わる企画立案など大学運営に直接関わる学生を「学生職員」として雇用する制度があります。学生ならではの自由な発想と行動力でキャンパスの環境改善や社会課題の解決に取り組んでおり、様々なプロジェクトを手掛けています。若い世代が面白いと感じられる「場」を提供し、想定もしなかったような新しい世界をつくってほしいと考えています。

嵯峨濃(アクセンチュア) 佐々木先生の「実現可能性を踏まえたプロジェクト立案」は、私たちコンサルタントの仕事に近く実践的だと感じました。また、西澤先生のお話を伺うと、学生さんが自主的に場を活用するサイクルが成立していると感じ、興味深いです。

磯貝(国際教養) 本学には、生活寮に学びの要素をとり入れる「テーマ別ハウス」※10という取り組みがあります。学生には予算も含めて裁量権が全て与えられ、教職員は頼まれたときだけ手を差し伸べるというスタンスです。現在は、留学生と共創し、自発的に地域を巻き込むイベントを行うなど、まさに「0」から「1」を生み出す経験の場となっています。学生を信頼し、主体性に任せたからこその成果だと感じています。

テーマ別ハウス [国際教養]

※10 テーマ別ハウス [国際教養]学生が自分たちでテーマ(日本語、英語教育、政治、数学、AIなど)を決め、そのテーマに関心のある学生(留学生を含む)が同じ宿舎で共同生活を行う取り組み。基本的には学生自治で、何をするか、どうやるかは全て自分たちで決める。

山本(大阪経済) 関西の地域に根差した本学としては、ゼミ単位でのPBL※11を通して、地域社会とつながることを重視しています。例えば、福祉事業所との共創※12においては、メタバースの世界を取り入れることで、障害の有無に関係なくフラットに接客ができるようになるなど、新しい多様性のあり方が見られます。価値観や文化、慣習が異なる外の世界とつながることで、多面的なものの見方・発想力と、問題解決に向けて主体的に行動できる実践力が身につけられると考えています。

※11 「Project Based Learning」の略。問題解決型学習。学生自らが課題を発見し、解決する力を養う学び。

福祉事業所との共創 [大阪経済]

※12 福祉事業所との共創 [大阪経済]
情報社会学部の浅田ゼミと、コロナ禍でイベント等での販売機会を失っていた福祉事業所との連携からスタートした「福学地域連携プロジェクト」。「障がい者福祉」と「大学」のパートナーシップを目指す。

貞閑(アシックス) 先生方のお取り組みのように、学生が課題設定から自発的に取り組むプログラムには、非常に価値があると感じます。現在は社会課題の多様性はもちろん、個々の企業の中でも課題の多様化が進んでいるので、課題設定を自らできる、つまり0から1を生み出していける人材は歓迎されます。もちろん、与えられたゴールに向かって頑張ること自体にも価値はあるのですが、自らゴールを設定して取り組んでいく姿勢が、より大切な世の中になってきていると思います。

木村恵子の編集後記
木村恵子

「共創力」の理念を頭では理解していても、リアルな体験を通さなければ、実感には結びつきません。大学では、座学だけではなく、イベントや寮生活、海外研修、PBLなどを通して、学びをリアルに落とし込む取り組みが進んでいるようです。コロナ禍を経た今だからこそ、同じ空間・時間を共有する大切さを、改めて認識しています。

大学・自慢のプログラム

学生がビジネスモデルを構築!福祉×経営学で地域貢献へ 福学地域連携プロジェクト

情報社会学部・浅田ゼミの学生から、コロナ禍でイベント等の販売機会を失った福祉事業所への働きかけで生まれたプロジェクト。事業所の自主製品を適正価格で販売する「くすのきエール・マルシェ」を通じて、価格や販売方法の分析と実践を繰り返し、収益をあげるビジネスモデルを構築して福祉事業所に引き継ぐことを目指す。

大阪経済大学
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大阪経済大学は大阪市内に位置し、経済学部、経営学部第1部、経営学部第2部、情報社会学部、人間科学部を設置する学生数約7千人、専任教職員数約260人の社会科学系の私立大学。2024年4月に「国際共創学部」を開設予定。※仮称・設置認可申請中

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ASEANの学生と現地で協働地域の課題解決に挑戦! 国際協働課題解決型プロジェクト

ASEAN地域の提携校との国際協働PBL。同大学の学生と海外提携校の学生が、講義、資料調査、フィールドワークなどによるデータ収集・分析、発表・討論、レポートの作成を通して、共に各地域に関連した課題に取り組む。グリーンエコノミーや地域の持続的発展などをテーマに、秋田と提携校がある海外で活動する。

国際教養大学
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世界200以上の提携大学や日本各地から集まった多様な学生が、「学修・居住一体型キャンパス」で切磋琢磨しながら学び合う。「全て英語の少人数授業」、「1年間の留学義務」、「多文化共生キャンパス」を教育の柱とし、グローバルリーダーの育成を目指す。

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国際機関や世界各地で国際協力活動を実践&体感 海外実践型プログラム

ニューヨークやジュネーブの国際機関本部での集中研修、アフリカ諸国で現地の人々との交流を通じて歴史や文化を学ぶスタディーツアー、インドやタイの地域でボランティア活動に取り組むサービスラーニング、ICTや環境保全で先行するエストニアでの研修など、国際協力について実践的な学びを深める多種多様なプログラムを揃えている。

上智大学
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文系・理系の枠を超え全学部が集まる超都心のワンキャンパスは、世界中から学生や教員が集うグローバルで多様な教育環境。英語による学位プログラムや、国際機関やグローバル企業との協働、多彩な留学プログラムの他、国内外でのインターンシップ科目も充実している。

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学部で専門性を深めながら一段階上の語学力・教養を目指す グローバル・シティズンシップ・プログラム(GCP)

それぞれの学部に所属したまま参加できる学部横断型プログラム。英語や数理能力、課題発見・解決能力などを養成する科目をはじめ、世界水準の教養を目指す土台作りとして、1・2年次の2年間で集中的にどの分野にも共通する学問の基礎(教養)を学ぶ。また、給付型の奨学金によって全員が海外短期研修に参加する。

創価大学
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8学部10学科を擁する総合大学で、学生の約1割が世界各国・地域からの留学生であり、多様な価値観が共存する環境が整っている。「価値創造を実践する『世界市民』を育む大学」をテーマに、知恵・勇気・慈悲の心を持った世界市民の育成を目指している。

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グローバル企業・人材採用担当者の目

今回の座談会記事を読んで、グローバル企業で働く人は何を感じたのか。
座談会に参加した企業の人材採用担当者に感想を聞いた。

「共創から生まれる変化を楽しめる場」
を期待します

多様性を取り入れ、新しい考え方を模索するアプローチは「多様な文化、相違する意見の中にこそ宝石がある」と考える当社でも重視しています。座談会の記事を読んで、大学で多様な価値観に触れながら試行錯誤を重ねることで、真に考え抜く力が育まれるのだと感じました。今後も学生が自分自身に向き合い、周囲と共創する力をのびのびと養うこと、そしてそこから生まれる変化を楽しめる場であることを、大学に期待します。

福田美穂

アクセンチュア株式会社
人事本部リクルーティング
新卒採用統括

福田美穂ふくだみほ さん

大学の学びは多様性を重視した
体験型へと進化!

大学は、従来の座学のイメージから、より体験や多様性を重視する場へと進化しているようです。「共創力」とは、海外留学やPBLなど、目的意識を持った実体験を重ねて初めて、本当の意味で理解できるものだと認識を新たにしました。当社の業務においても、海外のグループ会社との協働作業が欠かせません。異なる文化・意見を理解したうえで、自ら課題を見いだし、人との衝突をも乗り越えていく人材が育つことを期待しています。

貞閑明彦

株式会社アシックス
執行役員
人事総務統括部長

貞閑明彦さだかあきひこ さん

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