ところが17年になると、高齢化が進み寸胴形になってしまった。


 任期制の「士(前線の兵士)」が少なくなり、部隊の統率者である「曹(下士官)」や、「幹部(将校)」が増えている。

 平均年齢は31.8歳から35.9歳に上がった。現在士の充足率は73.7%で、頭でっかちの年齢・階級構成になっているのだ。

 募集要件をさらに緩和するのは簡単ではない。防衛省関係者が言う。

「装備品のコンピューター化や国際化が進み、それに対応する知識が求められるようになった。人手不足だからといって、おいそれと試験のレベルを下げるわけにはいかない。一方で、幹部連中は減らしにくい。緊急出動などの手当てがあるため、幹部は内局の事務官よりも給与が高めに設定されている。人件費の枠は決められているので、その既得権を守るためにも、若手の採用を抑制している面があるのです」

 募集難は、こうした自衛隊内部の構造にも原因がある。

 自衛官になることへのイメージも低下している。内閣府が3年ごとに実施している「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」では、「身近な人が自衛隊員になることの賛否」をたずねている。

 12年の調査では「賛成」「どちらかといえば賛成」が計72.5%だったのが、15年は70.4%、18年は62.4%に減った。

「反対」「どちらかといえば反対」は12年には計19.2%だったのが、15年は23.0%、18年は29.4%に増えている。

 14年7月、集団的自衛権の行使容認が決まり、自衛官が死傷しやすくなったというイメージが広がったことも影響している。

 人手不足を解消しようにも、徴兵制を復活させるわけにもいかず、選択肢は限られている。このままいけば、前線兵士が少ないのに指揮官は多いといういびつな構造がさらに強まりそうだ。(本誌・亀井洋志)

※週刊朝日オンライン限定記事