14年ぶりの快挙だ。米プロバスケットボールNBAで、10月27日、グリズリーズの渡辺雄太が途中交代で出場した。田臥勇太(現・栃木ブレックス)以来となる日本人の出場となった。ただ、渡辺は最大45日間まで所属できる「ツーウェイ契約」。今後、本契約を目指すには、どんな道のりが待っているのか。
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渡辺雄太の出場は4分間だったが、206センチという体格に加え、技術的にも通用するところを見せた。
母校の尽誠学園(香川)バスケットボール部の色摩拓也監督は、教え子の活躍に喜びを隠しきれない。
「彼が最初にアメリカに行った時は、『通用しない』と、批判的な声が大きかった。それを忘れさせられるくらいの活躍をしてくれている」
渡辺は現在、ツーウェイ契約で、あくまで“お客様”。目指すはNBAのチームの一員として正式に契約することだ。米国在住のスポーツライター杉浦大介さんは、その可能性は十分あると評価する。
「ツーウェイ契約選手ながら、開幕から5戦目でNBAデビューを果たしたのは、チーム内で実力が認められたということです。11月1日にグリズリーズがアンドリュー・ハリソンをウェイブ(解雇に近い意味)し、ロースターの枠に一つ空きができたこともあり、渡辺選手が本契約を勝ち取る可能性が十分にあると思います」
高校時代から渡辺を取材してきたスポーツライターの三上太さんは「あとはフィジカルを鍛えること」だと指摘する。
「すぐに本契約は厳しいかもしれません。ただ、先日、高校時代の渡辺選手を知っている栄養士の先生と話していて、体格の話題になりました。彼は最近まで身長が伸びていました。身長が伸びている間は体重が増えません。筋肉は太っていかない。恐らく、ようやく身長が止まったはずなので、ここから筋力がついてくる。そうなってくると、現時点で彼の弱点といわれていたパワーがついてくる。技術的にはそこまでひけをとっていない。パワーがつけば、本契約をとれるかもしれません」
今後はNBAの下部リーグにあたるGリーグが、渡辺の主戦場となる。下部リーグとはいえ、NBAに近い実力者がゴロゴロいる。