空室が目立つアパ―ト
空室が目立つアパ―ト

 地主が新築したアパートを不動産管理業者が一括で借り上げ、空室に関係なく、10年以上の家賃収入を保証するサブリース契約。「損しないビジネスモデル」と銀行、業者に薦められ、アパート経営に乗り出した地主が契約を巡るトラブルで破綻するケースが相次いでいる。

 2005年4月、新潟県の男性Aさん(85)はレオパレス21の営業担当者の訪問を受け、保有していた田んぼの土地でアパート経営を始めることを決めた。

 レオパレス21はアパート建設を地主に提案し、「サブリース契約」をセールストークにして、売り上げを伸ばしてきた業界大手だ。

「相続税の節税対策にもなる」「損はしない」と言われたといい、約1億8千万円で物件を購入。銀行から1億5500万円の融資を受けた。

 事業計画書に記載された10年間の収支計画によると、年間の借入返済額約680万円に対し、約1170万円の賃料収入があり、前払い家賃を支払い終えた6年目以降の年間収入は450万円になる計画だった。

「10年間は家賃収入が保証され、変動しないといったお話をされました」

 Aさんの息子(58)はそう訴える。ところが、購入してから8年を過ぎたころ、レオパレス21の社員が自宅を訪れ、家賃の減額を言いだしたという。

「担当者から東日本大震災で会社の経営がうまくいっていないため、家賃収入を減額してほしいと相談がありました。今回減額しないと後で減額の金額が3倍になると言われました。『契約のとき、減額することは聞かされていなかった』と反論すると、『太陽光パネルを設置すれば減額はしない』と言われました」(前出のAさんの息子)

 レオパレス21は当時、太陽光発電システム関連の事業も展開していた。Aさんの息子によると、こんな“落とし穴”があった。

「担当者に『太陽光パネルを取り付けるのに追加費用がかかる。そちらで払ってほしい』と説明されました。そんなお金もなかったので、泣く泣く減額を受け入れました。『今日中に決めなければ、だめだ』と強引に迫ってきました」

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