日経平均続落… (c)朝日新聞社
日経平均続落… (c)朝日新聞社

 兜町から悲鳴が連日、やまない。日経平均株価は年明けからほぼ下がり続け、1月21日の終値は昨年末と比べて約3千円安の1万6017円の安値を付けた。その後、急反発したものの、予断を許さない状況が続く。

 だが、株価下落で損をするのは、投資家だけではない。将来、年金を受け取る私たちすべてだ。なぜなら、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が保有する私たちの年金資産135兆円の4割以上に当たる約60兆円が国内外の株式市場に流れ込み、相場の影響を受けているからだ。つまり、株価が下がれば下がるほど、年金の原資が減っていくというお寒い状況だ。

 経済評論家の斎藤満氏は今後をこう予測する。

「日経平均は1万5000円を割り込み、為替は1ドル=110円まで円高が進むと考えます。世界同時株安が進んでいますが、日本だけでなく、海外市場もまだ下がり切っていません」

 仮に日経平均が1万5000円に、為替が1ドル=110円になるとしたら、昨年末時点と比較して年金はどうなるの? 斎藤氏の試算によると、なんと約16兆円が吹き飛ぶというのだ。

「年末の株価約1万9000円から2割下落すると約12兆円が消える。さらに、外国株式と外国債券合わせて約50兆円の外貨建て資産は為替変動の影響を受ける。つまり、1ドル=120円から110円に8%円高が進むと約4兆円の為替差損となり、合計16兆円のマイナスになります」(斎藤氏)

 GPIFはもともと、資産の多くを低リスクだが収益率の低い債券で運用してきた。ところが、第2次安倍内閣発足以降は、株式比率を徐々に引き上げ、2012年12月に12.9%だった国内株式比率は昨年秋には21.35%となった。現在は22~23%に達していると言われており、25%の上限ぎりぎりに迫る勢いで買い足してきた。

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