バスの死亡事故を受け、土下座して謝罪するバス運行会社・イーエスピーの幹部ら (c)朝日新聞社
バスの死亡事故を受け、土下座して謝罪するバス運行会社・イーエスピーの幹部ら (c)朝日新聞社

 企業努力にも限界があり、価格を下げれば品質も下がる。当たり前のことだが、格安ツアーバスの死亡事故に廃棄カツの横流しと、年明けから価格競争のしわ寄せによって悲劇が起きた。しかし、格安が招く悲劇はそれだけではないのだ。

 保育の現場でも価格競争は進んでいる。

「24時間受け入れ可能! 1時間480円! 少人数制で安心の駅近保育所」

 新宿の繁華街に貼られていたチラシに、1歳の子どもを持つB子さんは釘付けになった。育児休暇から職場復帰して3カ月。一時保育は、認可保育園で1時間800円程度。自宅近くの認可保育園は満員で入れず、現在は一時的な措置として、時間制でベビーシッターに子どもを預けているが6時間で1万円と、とても続けられない。

「まずは見学だけでも」と、チラシにあった“激安”保育所を訪れてがくぜんとした。

「雑居ビルの中にあって、とにかく狭い。部屋も荒れていて、衛生状態も悪そう」(B子さん)

 すぐにビルを後にしたが、狭い空間に10人ほどの子どもがひしめき合っている様子が頭から離れなかった。

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