企業も保育業界に続々と参入。24時間対応型のベビーホテルや、マッチングサイトを通じたベビーシッターの広がりなど、さまざまな形態が普及し始めている。だが、一方では負の側面も。14年には、埼玉県富士見市のベビーシッターによる幼児殺害事件も起きた。

 幼児教育学を研究する玉川大学の若月芳浩教授が警鐘を鳴らす。

「保育の中身より、利便性やサービス料金を重視して保育施設を選ぶ保護者が目立つのも気になります。子どもの発達には良い保育者と伸び伸びとした環境が不可欠です。目先のことに惑わされてはならない」

 医療、美容業界でも格安商品がある。例えば、視力を回復させるレーシック手術。安全を保つための入念な精密検査や設備を要するため、大病院ならば40万~50万円かかるが、ある大手クリニックは現在7万円という激安価格をうたう。

 レーシック被害対策弁護団の弁護団長を務める梶浦明裕弁護士が話す。

「安さを売りにする病院は手術を大量にこなして利益を上げる。患者は、工場のベルトコンベヤーで運ばれるように術前検査担当、手術担当というように複数の医師の処置を受けます。合併症などデメリットの説明や術前検査がずさんになり、強度の近視など手術に適さない患者にも施術してしまう」

 その結果、ヒリヒリと鋭い痛みを伴うドライアイや、視力が合わずひどい頭痛に悩まされ日常生活に支障をきたすケースも出ているという。美容脱毛でも価格破壊が進み、業界で不安の声が上がる。

週刊朝日  2016年2月5日号より抜粋