プロゴルファーの丸山茂樹氏が、サッカー澤選手引退や石川遼の発言について語った。

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 12月16日に女子サッカーの澤穂希さん(37)が現役引退を発表されました。ほんと、お疲れさまでしたと言いたいです。

 もともとは男子に比べて認知度がかなり低かった女子のサッカーを、ここまで引き上げてきた功労者の一人ですからね。ある意味、「なでしこジャパン」って言葉が定着したのも、澤さんの頑張りによるところが大きいんじゃないかと。

 海外の舞台でも頑張って、後輩たちが日本を飛び出していく道筋をつくったってところは、僕たちも見習うべきだと思います。世界でも戦えるってのを、先頭を切って見せてきた。これはすごいことですよ。

 なでしこリーグの試合に足を運ぶ人が、これだけ増えたんですからね。大きな功績だと思いますよ。

 話は変わりまして、日本男子ツアーで2015年最大のトピックは、やはり石川遼(24)ですねえ。米PGAツアーで苦しんでんのかなと思いきや、日本に戻ってきたら二つ勝つというね。

 この2勝を通して、日本のゴルフファンのみなさんに米ツアーの重みというか、海外ツアーの大変さも改めて知ってもらえたかなと。一方で、あんなに簡単に勝たれちゃいけないぞ、というね。他の選手たちがもっとガッツを出さなくちゃいけない、と。まあ遼が勝つことで、みんなが考えさせられる。日本では大きなトピックでした。

 
 最終戦「日本シリーズJT杯」のとき、遼が報道陣に対して日本ツアーの問題点を語り、提言も口にしたそうですね。「米ツアーに比べて選手の負担が大きい。プロアマ戦は、アメリカでは18ホールプレーしたら選手の役目は終わり」とか、「もっともっとレベルの高い試合を見せないといけない」とかいったことを。

 勇気を出して言ったんだと思いますよ。若いし、批判の目もあると思うんですけどね。アメリカや国内女子ツアーの現状も遼なりに踏まえて。すごく勇気のある言動だったのかなと思います。

 遼の言ったことを聞き流さないで、日本ツアーに関わる人みんなで真剣に考えていった方がいいですね。

 この話に関連しますけど、日本ゴルフツアー機構(JGTO)がこのほど、16年の国内男子ツアー日程を発表しました。試合数は15年の25から「3増2減」で26(海外開催2、国内24試合)に。賞金総額は1億8066万円増えて、34億9千万円になりました。

 スターが不在でなかなか盛り上げていくのが難しい現状からすれば、減らなかっただけでもありがたい話ですよ。女子ツアーはイ・ボミちゃんのように海外からのスターが盛り上げてくれましたけど、我々男子には一生縁のない話かな、と思いますね。

 まあ、ジャスティン・ビーバーがプロゴルファーに転向したら話は別ですけど(笑)。ジャニーズがゴルフに挑戦とかね。男性アイドルが二足のわらじ、みたいな。そんな人がもし出てきたらまた違うのかなと思いますけど、僕らにはボミちゃんみたいな存在を期待するのは非常に難しい。

 とにかく若者に頑張ってもらうってことと、将来を見据えて、何ができるのか考えていかないといけないってことですよね。やっぱり遼の言葉を聞き流さないのが大事ってことです。

週刊朝日 2016年1月1-8日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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