「自転車専用レーン」がもっと普及すれば…(※イメージ)
「自転車専用レーン」がもっと普及すれば…(※イメージ)

 自転車による事故で請求されるであろう賠償金は、昨今高額になっており、1億、2億などという場合もある。そのため、自転車保険加入の必要性が問われている。

 自治体も動きだした。兵庫県が条例を新たにつくり、10月から全国で初めて自転車保険の加入を県民に義務付けたのだ。

 県交通安全対策班の野上浩二主幹によると、契機は自転車事故の増加。2004年に93件だった事故数は13年には175件に倍増。神戸地裁が出した9千万円台の高額賠償判決も影響したという。野上氏は言う。

「罰則も検討しましたが、車の車検や車庫証明のように自転車は管理できないなど問題点が多く、見送りました。それでも、多い日には問い合わせが100件を超え、北海道や愛知など全国から視察もあり、関心の高さがうかがえます」

 この動きに11月5日午後5時45分ごろ、千葉県船橋市内で女性(48)が亡くなる痛ましい衝突事故があった千葉県の担当者も「今夏に続き死亡事故が続いており、兵庫県の取り組みは勉強したい」と話す。

 一方で取材を進めるうち、マナーの向上などでは解決できないリスクも明らかになってきた。高度経済成長期を中心に急拡大した「道路」そのものだ。

 国土交通省によると、高速道路を除く一般道路の実延長は120万8769キロ(13年)。高度経済成長期に年間1万キロ超、1日あたり30キロ前後の勢いで延伸したようだ。一方で時代に合わせた改修は財政難などの理由から思うようにできていない。とくに都市部を中心に、歩道の真ん中に電柱があったり、歩道の幅や段差が事故を招きかねない構造の箇所さえ残っている。

 実際、船橋市の事故現場でも、気になったのは自転車の前輪が引っ掛かったという歩道付近の状況だ。近所では批判の声も聞いた。

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