なかでも肺炎は、日本人の死因第3位という危険な病気だ。風邪から発展する例が多いだけに、咳が長引いても「風邪が治りきっていないからだ」と思われ、放置されがちである。

「肺炎で亡くなる方の95%以上は65歳以上の高齢者です。高齢の方は、特に長引く咳を見過ごさないでください。そしてこれからの季節、最もリスクの高い肺炎球菌のワクチンを、あらかじめ接種しておくことをおすすめします」(大谷医師)

 肺炎球菌は、肺炎の原因として最大の25%以上を占め、生命に関わる重篤な症状をもたらす原因菌だ。肺炎球菌ワクチンは、1回打てば5年間効果が持続する。5年に1度でいいなら、試す価値は大だろう。

 もうひとつ、インフルエンザのワクチン接種もおすすめしたいと大谷医師は言う。インフルエンザの後に肺炎を合併する率は65~79歳で2.1%。80歳以上では13.3%もの高率だ。高齢になるほど、肺炎に発展しやすいというわけである。

 X線検査をクリアしたら、次に疑われるのは「咳ぜんそく」だ。気管支が炎症を起こし、刺激に過敏に反応することで咳が止まらなくなる病気である。

「秋冬は冷たい空気が気管支を刺激するので、特に咳ぜんそくの症状が出やすくなります。部屋を移動したり電車に乗ったりして空気が変わったとき、しゃべったり笑ったりしたときなど、ちょっとした刺激によって咳が出るのが特徴です」(同)

 咳ぜんそくの原因のひとつは、ホコリやダニ、花粉などのアレルギー物質を吸入し気管支炎を起こすこと。風邪やインフルエンザから起きる気管支炎も引き金となる。治療には吸入ステロイドが必要だ。

「咳ぜんそくの約30%は気管支ぜんそくに発展します。気管支ぜんそくになると治療が長期化するので、ぜひとも咳ぜんそくのうちに治療していただきたいところです」(同)

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