ただの風邪と思って放っておいたら、違う病気だった――(※イメージ)
ただの風邪と思って放っておいたら、違う病気だった――(※イメージ)

 ただの風邪と思って放っておいたら、違う病気だった――。秋津医院(東京都品川区)の秋津壽男院長によると、こういう患者さんは多いらしい。

「初期症状が風邪と似ている病気はいろいろあり、医師でさえ判別が難しいので無理もありません。ただ、重篤な病気を放置すると深刻な容体を招く場合があるので、注意が必要です」

 風邪の病原ウイルスは200種類以上。風邪症候群とは、ウイルスによって上気道(鼻腔から咽喉の奥まで)に炎症を起こす病気の総称だ。咳・鼻水・鼻づまり・のどの痛み・発熱などの症状が出るが、放っておいても1週間前後で自然に治癒する。つまり1週間以上たっても症状が治まらなければ、風邪以外の病気を疑うべきなのだ。

 風邪と間違えやすい病気は、風疹、はしか、おたふく風邪、りんご病、手足口病など。これらは子どもの病気だが、大人が罹患する例も意外と多く、子どもより重症化する。いずれもウイルス性の病気で治療薬はなく、対症療法を施して休養するしかない。

 とはいえ、感染を防ぐためには病名を自覚して適切に対応せねばならない。特にはしかは、脳炎に発展する恐れのある重篤な感染病だ。それぞれの特徴的な症状を下の表に掲げた。風邪と見分けるポイントとして参考にしてほしい。

 実は記者も最近、風邪がなかなか治らないと思っていたら、膝下に真っ赤な発疹が! 慌てて皮膚科を受診したら、りんご病だと判明。幸い1週間ほどで発熱や発疹が治まったが、数カ月間、関節痛や倦怠感に苦しめられる例もあると聞き、戦慄したものだ。

 さて、「風邪は治ったのに咳だけしつこく残る」というケースも多くある。

「2週間以上咳が続いたら、風邪以外の病気と思って間違いありません。肺炎や結核など重篤な病気の可能性もあるのでなるべく早く医療機関を受診してください」

 こう言うのは、池袋大谷クリニック(東京都豊島区)の大谷義夫院長。長引く咳やいつもと違う激しい咳が出ていたら、まずX線検査で肺がんや肺炎、結核の可能性を探るという。

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