永井荷風アリゾナキッチン東京都台東区浅草1―34―2営業時間 11:30~14:30LO、17:00~22:00定休日 月曜(祝日なら翌火曜)チキンレバークレオール1404円。奥にあるのは、荷風の代表作『ボク東綺譚』(※ボクはさんずいに墨)の直筆原稿をコピーし製本したもの(撮影/写真部・松永卓也)
永井荷風
アリゾナキッチン
東京都台東区浅草1―34―2
営業時間 11:30~14:30LO、17:00~22:00
定休日 月曜(祝日なら翌火曜)
チキンレバークレオール1404円。奥にあるのは、荷風の代表作『ボク東綺譚』(※ボクはさんずいに墨)の直筆原稿をコピーし製本したもの(撮影/写真部・松永卓也)

 偉大なる作家は、美味なる料理も貪欲に求め続けた。創作に多大な影響を与えた一皿を紹介する。

【文豪の愛した一皿、その他の写真はこちら】

◇永井荷風

 ストリップ通いが好きで、踊り子を連れて浅草の店を訪ね歩いた荷風。日記文学『断腸亭日乗』には、昭和24年7月12日に初めて入った洋食店「アリゾナキッチン」の味と値段が気に入り、通い続けた様子が記されている。

「来店すると必ず同じ席に座り、2週間連続して同じものを食べ、次の2週間は別のものを連続して食べていたそうです」(店主の松本力也さん)

 お気に入りは、鳥モツを煮込んだ同店オリジナル料理・チキンレバークレオール。店内にはそれを食べる荷風の写真が飾られている。

アリゾナキッチン
東京都台東区浅草1‐34‐2/営業時間 11:30~14:30LO、17:00~22:00/休 月(祝日なら翌火)

◇谷崎潤一郎

『瘋癲(ふうでん)老人日記』には、主人公一家が「浜作」で食事をするシーンが克明に描かれている。主人公の老人は、息子の妻が残した鱧(はも)を梅肉につけて食べるのだが、その様子がエロティシズム溢れる筆致で綴られるのだ。

「谷崎先生はいつも、カウンターの左端に座っていたと記憶しています。ガタイがしっかりしていて、見るからに気難しそうな人でした」と語るのは、当時中学生だった3代目店主の塩見彰英さん。その席で谷崎は、よく鱧を食べたという。さらに豆乳を寒天で固めた滝川豆腐、茄子しぎ焼きも好んだ。

銀座 本店浜作
東京都中央区銀座7‐7‐4/営業時間 11:30~13:00LO、17:00~21:00LO/休 日祝

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