難聴があるのに補聴器を使用しないと認知症のリスクを高めるというデータもあります。会話が困難になり、ボーッとしている時間が増えれば認知症は進みます。生活の質を保つためにも適切な補聴器を使用することが大切なのです。

 日本では補聴器というとかなり高齢な人がつけている印象をもたれがちですが、最近は見た目を楽しめるカラフルなものもあります。また従来の本体を耳にかけて使う「耳かけ型」のほかに小型で目立ちにくい「耳穴型」など大きさもさまざまです。ただし自分に合っていない補聴器を装着すると十分な効果が得られないこともあるので、耳鼻科で診断を受けることが大切です。耳鼻科で扱う病気は幅広いですが、日本耳鼻咽喉科学会のホームページに出ている補聴器相談医なら、補聴器治療について詳しいと考えていいでしょう。

 補聴器で難聴の進行は抑えられませんが、進行に合わせて調整したり、機種を変えたりできます。それでも会話が困難ならEAS(残存聴力活用型人工内耳)など人工内耳の条件に当てはまるかもしれません。

週刊朝日 2015年6月19日号