日本時間6月13日(金)から、サッカーのFIFAワールドカップブラジル大会が開催される。過去最多の203チームが参加し、その予選を勝ち抜いた32チームで争われる今大会。7月14日(月)の決勝まで、世界中のサッカーファンが母国やスーパースター選手のプレーに胸を熱くする1カ月間が、もうすぐやってくる。

 栄光のワールドカップトロフィを手にするチームはどこか。多くの専門家が最有力候補として挙げているのは昨年のコンフェデレーションズカップ(コンフェデ杯)でも優勝した開催国のブラジル。また、前大会の覇者で現在、FIFAランキング1位(2014年5月8日発表時点)のスペインや、ワールドカップ2大会連続3位のドイツ、現在世界最高のプレイヤーのひとり、メッシ率いるアルゼンチンも優勝候補の一角だ。もちろん、我が日本もその争いに絡んで欲しいところである。

 ピッチでは同じボールを追いかけて、同じルールで行うのに、参加国の数だけ違うスタイルがあるといわれるサッカー。どの試合で、どの選手が活躍しそうか、スター選手の注目ポイントや不安点を頭に入れて観戦すれば楽しみも倍加する。大会を目一杯楽しみたいなら、ワールドカップ2大会出場経験のある元サッカー日本代表の宮本恒靖氏の新著『宮本式・ワールドカップ観戦術』(朝日新書)がオススメだ。

 本書では、日本代表チームのこれまでの戦績を紹介。惜しくもワールドカップを逃した1993年の“ドーハの悲劇”や、初出場を果たした1998年のフランス大会などを振り返った上で、今大会の見どころについて宮本氏が対戦相手ごとにキープレーヤーを挙げ、陣形も図解しながら解説している。

 グループCに属する日本の初戦の相手は、アフリカの強豪コートジボワールだ。宮本氏はこの試合について「前半15分がカギ」とし、DF吉田麻也選手をキープレーヤーに挙げている。続く2試合目、堅い守りが特徴のギリシャとの試合は、経験豊富なMF遠藤保仁選手に宮本氏は注目し、「この試合では勝ち点3を取りにいく」と勝利予想をしている。予選最後の試合は、3チーム中もっとも強豪と言われるコロンビアが相手。試合の流れを決めるのはエース本田圭佑選手の判断力。また、攻撃面では岡崎慎司選手、守備面では内田篤人選手がキープレーヤーになるという。

 頭脳派選手として日本のディフェンスラインを統率してきた宮本氏ならではの着眼点と、鋭い分析。この本の通りに試合運びができれば、史上初のベスト8進出、そしてその先の“頂点”も夢ではない……かもしれない。日本代表と一緒に夢を見たい人は、まず、この本を読んで「シミュレーション」してみてはいかが?