来年の甲子園でのブレークも期待されるノースアジア大明桜の風間球打 (c)朝日新聞社
来年の甲子園でのブレークも期待されるノースアジア大明桜の風間球打 (c)朝日新聞社

 全国各地で独自大会が行われている今年の高校野球。長い自粛期間があったにもかかわらず、連日熱戦が続いており、既に優勝校が決まった地域も出てきている。そして、スポーツの世界に“たら・れば”は禁物だが、もし甲子園大会があったら優勝を狙えるのではと感じるチームも少なくない。そこで今回はこれまで夏の甲子園の優勝を果たしていない地域で、幻となった102回大会の頂点を狙える可能性があったチームはどこなのか、これまでの戦いぶりから探ってみたいと思う。

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 まず夏の甲子園で優勝経験がないのは以下の20地域となっている。

北海道
青森
岩手
宮城
秋田
山形
福島
山梨
新潟
富山
石川
福井
滋賀
鳥取
島根
岡山
長崎

宮崎
鹿児島

 2004年と2005年に駒大苫小牧(南北海道)が連覇を達成し、2010年には興南(沖縄)が春夏連覇を達成したことで北海道と沖縄に深紅の大優勝旗が渡ったが、まだまだ優勝を経験していない地域は少なくない。特に準優勝が多く、“大旗の白河越え”が悲願と言われるのが東北の6県だが、その中で今年最も力があったのはやはり仙台育英(宮城)になるだろう。

 昨年夏の甲子園でもベスト8に進出しているが、当時のチームより戦力は上だった印象を受ける。宮城の独自大会では、選抜にもベンチ入り予定だった主力の2年生を外し、3年生だけで臨んだが、ほとんど危なげない戦いぶりで優勝を果たした。エースの向坂優太郎をはじめ、140キロ以上のスピードを誇る投手が10人以上おり、選手層の厚さは全国でも指折りだ。またドラフト候補にも上がっている大型ショートの入江大樹など、力のある打者も多く揃っている。選抜の代わりに行われることになった甲子園での交流試合では主力の2年生も出場予定であり、その実力をぜひ全国のファンに見せてもらいたい。

 同じ東北ではノースアジア大明桜(秋田)も注目のチームだ。かつてベイスターズで監督も務め、プロ野球の世界でも名投手コーチとして知られる尾花高夫氏が総監督を務めており、その影響もあってか全国レベルの投手陣を備えている。秋田の独自大会ではエースの佐々木湧生が故障の影響でほとんど投げることができなかったが、同じ3年生の橘高康太、長尾光、が中心となり安定した戦いぶりを見せた。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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ノースアジア大明桜には来年期待の大器も