ビジュアル系日本酒?の先駆けのひとつである秋田・新政酒造の『No.6 R―type』(左)と『ラピスラベル』(右)
ビジュアル系日本酒?の先駆けのひとつである秋田・新政酒造の『No.6 R―type』(左)と『ラピスラベル』(右)
左は栃木・松井酒造の銘柄『松の寿』と「米◯」の兄弟店「ひまり屋」のコラボレーションラベル。右は広島・今田酒造本店『富久長』
左は栃木・松井酒造の銘柄『松の寿』と「米◯」の兄弟店「ひまり屋」のコラボレーションラベル。右は広島・今田酒造本店『富久長』
(左)宮城・阿部勘酒造店の「阿部勘 純米酒」限定ラベル(右)この日一番のオススメとして出してくれた『天明 坂下山田 半熟生 純米酒』
(左)宮城・阿部勘酒造店の「阿部勘 純米酒」限定ラベル
(右)この日一番のオススメとして出してくれた『天明 坂下山田 半熟生 純米酒』

 暑い日が続くが、冷めることがないのが昨今の日本酒人気。酒蔵関係者も「ここにきてさらに日本酒専門店が増えている」と話すなど、その人気ぶりはますます加速しているようだ。その要因のひとつとして、日本酒のもつ“多様性”が挙げられるが、実はそれは味だけでなく、商品としての“ビジュアル”にも現れている。味の進化とともに、ビジュアル化も進む日本酒の今を取材した。

 その実態を探るべく、「吉祥寺銘酒立呑 米◯(こめまる)」を訪れた。2015年に吉祥寺駅南口にオープンした同店は、全47都道府県の地酒を網羅し(実は鹿児島や沖縄などの地酒まで揃えるのは非常に困難)、常時約100種類の日本酒を揃える。店内には多種多様なビジュアルの日本酒瓶が並べられていた。従来の日本酒らしい、王道的ラベルがある一方で、日本酒と言わなければわからないようなデザイン性の高いものも。その多様なビジュアルが集まる風景は、さながら本屋やレコードショップのようである。

 同店舗を含め日本酒専門店を3店舗経営する加藤洋平さんも、日本酒のビジュアル化を感じていると語る。

「近年は各地の蔵元が積極的に独自のデザインの日本酒を出している。正直どうかな?というものもあるが、次々と新しいラベルが出て面白い」

 早速、加藤さんからいくつかオススメを紹介してもらった。

 まずひとつめが、ビジュアル系日本酒?の先駆けのひとつである、秋田・新政酒造の銘柄。『No.6 R-type』は、同酒造オリジナル酵母「六號(ごう)酵母」の「6」を大胆に配したラベルが特徴的だ。また、ワインのようなビジュアルの『ラピスラベル』も、欧風でスタイリッシュなデザインで注目されている。こちらは色違いで『クリムゾンラベル』(赤)や『ヴィリジアンラベル』(緑)もある。

 ストリート系ファッションブランドを連想させる、カムフラージュ柄を大胆に配したのは、宮城・阿部勘酒造の『阿部勘 純米酒』の限定ラベル。『A Brewring Abekan』というロゴもブランドを意識したものだろうか。飲み会の手土産に持っていけば注目を集めそうだが、限定品なので入手はかなり困難である。

 そして、この日一番のオススメとして出してくれたのが『天明 坂下山田 半熟生 純米酒』。筆記体でつづられたラベルは、それと言わなければ日本酒だと気づかないような佇まいだ。これも希少ラベルなので、見つけた方はぜひお試しあれ。

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