団体優勝を決めた体操男子日本代表(撮影・赤坂直人
団体優勝を決めた体操男子日本代表(撮影・赤坂直人
日本の勝利に貢献した萱和磨(撮影・赤坂直人)
日本の勝利に貢献した萱和磨(撮影・赤坂直人)
ゆかで高得点を叩きだした白井健三(撮影・赤坂直人)
ゆかで高得点を叩きだした白井健三(撮影・赤坂直人)

 体操のアジア選手権が広島県総合体育館で開催され、8月1日に行われた男子団体総合で、日本代表が優勝を果たした。

 日本からは田中佑典、加藤凌平、白井健三、萱和磨、山室光史、早坂尚人が出場。キャプテンの内村航平、初選出の長谷川智将はともにケガのため出場を見送った。

 正規メンバーではないながらも、今大会は日本体操の地力を改めて知らしめる内容となった。

 1種目のゆかで加藤が、持ち前の安定した完成度の高いパフォーマンスを披露。続く白井も、彼の代名詞ともいえる4回ひねりをほぼ完ぺきに決め、会場を大きく沸かせた。16.800点の高得点が掲示されると、再び会場は歓声に包まれた。

 萱はあん馬で15.450点、つり輪では山室が15.300点と、それぞれの選手が得意種目で高得点を叩きだし、各々の役割を果たした。

 跳馬では演技をした4名中3名の着地が乱れるなど課題も見つかったが、最終種目の鉄棒で立て直した。加藤がG難度の「カッシーナ」を成功させ、15.750点の高得点。続く田中はこれを上回る16.00点をマークした。終わってみれば、チーム得点は合計365.600点。2位の中国と16.2点もの差をつけた大勝となった。

 今大会、その存在感を示したのが代表初選出となった萱だ。6種目すべてに出場し、そのうち4種目でトップバッターという重責を担った。そしてメンバーの中で唯一、そのすべてを大きなミスなくまとめたのだ。

 会場で試合を見ていた内村も「今回は(萱)和磨の強さが目立った。(代表としての経験では)一番下の選手なので、彼ががんばるとチームのみんながやらなきゃと思う。それはチームにとって良かったと思う」と大会を振り返る。

 試合後に「代表初選出だけど、自分がひっぱるつもりでがんばりました」と話した萱。そうした使命感の強さや、練習に対して妥協しない姿勢などから、日本体操協会強化本部長の水鳥寿思さんは「萱は日本のエースになりうる選手だと思っている」とも話している。

 世界選手権では、すべての種目をまんべんなくこなす「オールラウンダー」の存在が求められる。彼の平均的な能力の高さ、安定感、そして高い意識は、これからの体操ニッポンの大きな戦力となりそうだ。

(ライター・横田 泉)