今季から中日でプレーする中田翔

 開幕から約1週間が経過したプロ野球。特にそのプレーぶりが気になるのがフリー・エージェント(FA)、トレード、現役ドラフトなどで移籍した選手ではないだろうか。まだまだシーズンは始まったばかりだが、新天地でシーズンを迎えた移籍組の現状を探ってみたいと思う(成績は4月4日終了時点)。

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 まず昨年オフのFA市場で最も注目を集めたのが山崎福也(日本ハム)だ。所属していたオリックスも含めた6球団の争奪戦となり、最終的に同じパ・リーグである日本ハムへの移籍を決断。キャンプ、オープン戦でも順調に調整を続けて開幕ローテーション入りすると、移籍後初登板となった4月2日の楽天戦では味方の援護がなく負け投手となったものの、6回1/3を投げて3失点(自責点2)と先発投手として最低限の役割は果たした。オープン戦から一貫して投球内容は安定しており、今のところは期待に十分応えられる可能性が高いように感じる。ただ、黒星が重なると周りからのプレッシャーもどんどん大きくなるため、なるべく早くシーズン初勝利をマークできるかが重要になりそうだ。

 FA移籍組でもう1人注目されるのが山川穂高ソフトバンク)だ。昨年は自身の不祥事もあって長く実戦を離れていた期間があり、その点を心配する声も多かったが、オープン戦では3本のホームランを放つと、開幕戦でもいきなり右中間へ一発を放ち、さすがの長打力を見せている。その後は少しバットが湿っていたものの、4月4日のロッテ戦では初回に逆転のタイムリーツーベースを含む2安打2打点をマーク。打率は1割台だが出塁率は3割を超え、放った4安打のうち3本が長打であり、何よりも最初にホームランが出たことで気が楽になった部分も大きいのではないだろうか。ソフトバンクの覇権奪回のキーマンの1人であることは間違いないだけに、ここからも自慢の長打力を発揮してくれることが期待される。

 FAで唯一別のリーグに移籍したのが西川龍馬(オリックス)だ。パ・リーグでプレーしたいという意向が強く、広島からオリックスへ移籍。天才と呼ばれる打撃技術の高さに対する期待は大きいが、今のところは全6試合にスタメン出場しながら3試合がノーヒットで、打率も1割台と少し静かなスタートとなっている。キャリアハイとなる159安打を放った2019年も開幕直後は不振で、5月以降に一気に巻き返しているだけに現時点でそこまで心配する必要はないと思われるが、大きく環境は変わり、対戦経験の少ない投手も多いだけに、しばらくは苦労する可能性もありそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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