今季がプロ入り2年目のヤクルト・吉村貢司郎(写真提供・東京ヤクルトスワローズ)

 いよいよ本日シーズンが幕を開ける今年のプロ野球。改めて昨年を振り返ってみるとセ・リーグ優勝の阪神は村上頌樹、パ・リーグ優勝のオリックスは山下舜平大とともに新人王を獲得する活躍を見せた投手の存在が大きかったことは間違いないだろう。今年、彼らのように前年までの実績は乏しくても一気にエース格になる可能性を秘めた投手は誰がいるのだろうか。

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 まずセ・リーグの候補として挙げたいのが梅津晃大(中日)だ。2018年のドラフト2位で入団し、1年目に先発として4勝をあげたがその後は度重なる故障で二軍暮らしが続き、2022年3月にトミー・ジョン手術を受けて長期離脱。昨年5月にようやく実戦復帰を果たすと、9月25日の阪神戦では8回1失点の好投で3シーズンぶりの一軍勝利をマークした。東洋大の同期で150キロトリオとしてともに話題となった上茶谷大河(DeNA)、甲斐野央(西武)と比べても、当時からスケールの大きさではナンバーワンという声も多く、リハビリ中にしっかりトレーニングを積んだことでボールの力は確実にアップしているように見える。

 オープン戦でも体調不良で一度登板を回避したことはあったが順調に回復し、2試合、8回を投げて1失点と安定した投球を見せた。チームは力のある投手が多いが、高橋宏斗が調整遅れで二軍落ちとなり、大野雄大も故障明けということを考えると梅津にかかる期待は大きい。怪我なく1年間ローテーションを守り切ることができれば、一気に先発の中心となることも十分に期待できるだろう。

 中日と同じく下位からの巻き返しを図るヤクルトでは2年目の吉村貢司郎にかかる期待が大きい。ドラフト1位で東芝から入団し即戦力として期待されたが、昨年は開幕からなかなか勝ち星に恵まれず、故障で5月下旬には登録抹消。シーズン終盤には復帰を果たしたが、4勝2敗、防御率4.33という成績に終わった。ただコンスタントに150キロに迫るストレートの勢いは申し分なく、決め球のフォークも一軍で十分に通用するだけの威力がある。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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パ・リーグで「エース格」になれそうな投手は?