実はドジャースに移籍した選手はさらに活躍する傾向があります。2010、11年に僕がメッツ在籍時、チームメートにジャスティン・ターナーという選手がいました。当時は控えでしたが、14年のドジャース移籍後に急成長して長く主軸選手を務めました。彼に「なぜあれほど変わったの」と聞いたら、ドジャースはコーチ陣やコーディネーターらが多角的にデータ分析をしていて、選手の潜在能力を引き出すシステムがしっかりしているんだと言うんです。彼はそれまでセンター中心に逆方向への打撃を意識していたけど、助言を受けて打撃の考え方を改めたら、それが結果的に彼にとって正しい打撃だった。

 ドジャースは攻撃的な選手をそろえて派手な野球をする印象ですが、チーム内で取り組んでいることは非常に緻密。本当に強いチームというのはこうした細かいことができるチームです。大谷選手も例外ではなく、チームのピースとして役割を全うするのではないでしょうか。

 ドジャースはここ11年間で10度の地区優勝と圧倒的な力を持つチーム。他チームからのマークも当然きつくなります。今季も間違いなくポストシーズンに進出するだろうと見られている中、大谷選手にも重圧はあるでしょう。それをはねのけてどこまで僕らを驚かせてくれるか。今から楽しみです。

(編集部・秦正理)

AERA 2024年4月1日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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