被害者たちが抱く“心配”

 オウム真理教からの信者脱会を支援していた坂本堤弁護士一家3人が、オウム幹部らに殺害されたのは1989年11月4日。あれから34年半がたとうとしている。坂本弁護士の同僚だった武井共夫弁護士は、遺骨引き渡しの判決が出たことについてこう話す。

「最高裁では、次女が祭祀承継者であると認定されています。だからこそ、国側は遺骨を引き渡せば聖地化されてしまう、あるいは信仰の対象になってしまうと主張している。それは事件の被害者たちも心配していることではあります。法的な問題とは別に、そういう心配があることは事実です。仮に遺骨が次女に引き渡されたとしても、『遺骨を利用することはない』という言葉通り、絶対にそれを守ってほしいと強く思っています」

 たとえ次女に遺骨が引き渡されたとしても、「それで終わり」とならないことは確かだろう。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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