遺骨引き渡しの裁判が行われた東京地裁(撮影/上田耕司)

次女と三女はいつも一緒に行動

 松本元死刑囚は2018年7月に死刑が執行され、遺骨と遺髪は、現在、国が保管している。所有権をめぐっては次女と四女が対立し、次女に所有権があるとの判断が21年7月に最高裁で確定した。しかしその後、国側は、遺骨などを次女に引き渡せば、オウム真理教の後継団体がそれを神聖化し、公共の安全や社会秩序を害する恐れがあるなどとして、引き渡しに応じなかった。

 松本元死刑囚には二男四女がいるが、遺骨の引き渡しを争った四女は、次女や三女と対立関係にあるとされる。事件後、オウム真理教は「Aleph(アレフ)」や「ひかりの輪」(いずれも国は後継団体と認定)などに分裂したが、国側は次女は「アレフ」と距離が近いことなども懸念材料としてきたようだ。前出のジャーナリストは言う。

「まず、次女と三女は仲が良く、いつも一緒に行動しているのがブログなどからもわかります。(アレフとの)距離の近さについては、アレフが次女と行動を共にする三女に教団運営への関与を一時期求めていたというのが事実であって、次女や三女から近寄ったのではないと思います。アレフとは無関係の状態とみていいと思います」

 当の次女は教団とは一切の関わりを断っていると主張しており、「遺骨を利用しようとする者に引き渡すことはあり得ない。娘としてただ静かに悼み弔いたい」と訴えている。

「次女が教団とつながっているかもしれないから、国側が遺骨を渡さないという理屈は、私はおかしいと思います。その人間が怪しいから本来あるべき権利を制限するというのは独裁国家です。それを認めたら、明日はわが身にも降りかかるかもしれません」

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法的な問題とは別の心配