休日の朝お父様が作ってくれた一皿。トルティーヤチップスに熱いサルサやチーズをかける(写真:本人提供)

 で、そんなことができる理由もわかった。日々の料理がワンパターンなのだ。簡単なおかず一品作れば、冷蔵庫のチーズや作り置きの煮豆を各自好きなように皿に盛り好きなサルサ(ソース)をかけトルティーヤに包んで食べる……って、まさに、一汁一菜なら誰でも自分が食べるものは自分で作れるという我が主張そのものじゃないですか。

 いや……ホントにホントにやればできるんだ!

 で、さらに感銘を受けたのがお2人の仲の良さ。意見の相違はきっとあるはずだが、どんな会話でも口調が尖るところは一切見たことない。毎日「オラオラ〜(元気?)」と春風のような挨拶をかわし心から労り合っている。まさに色々ある人生を共に生きる同志。変な上下関係みたいなものがなければこうなるのかと、これもまた初めて見る美しい光景だった。いいことしかない。やらぬ理由なし。

AERA 2024年3月18日号

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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