元朝日新聞記者 稲垣えみ子

 元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】休日の朝お父様が作ってくれた一皿はこちら

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 半月にわたるメキシコ・ホームステイも早くも終盤。人生初の体験というものは日々思いもよらぬ発見の連続で風のように過ぎていくわけですが、中でも何気に衝撃を受けているのが、当地の家庭の食卓であります。

 私が世話になっている友人のご両親は私より少し上の世代ですが、驚いたのはお母様もお父様も全く同じように料理すること! お2人とも働いておられて余裕のある方がごくフツーに料理。後片付けも同様で、自分の皿は自分でスッと台所に運んでちゃっちゃと洗い、その他の食器や鍋やらまな板は成り行きでどちらかがフツーに洗う。

 で、それを見て「!」と思ったのには理由がありまして、というのは私、家事については一言あり、家事とは押し付け合うものではなく自立への第一歩、ゆえに性別関わらず自分のこと(炊事洗濯掃除)は自分でやるのが結局は自分のため。レッツ一人一家事!……と熱く説いた本まで書いているんですが、実際、家族で暮らしてこの「一人一家事」を完璧に、しかもフツーに実践している人を見るのは初めてだったのだ。ホントにやればできるんだ!

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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