大阪桐蔭のラマル・ギービン・ラタナヤケ

 3月18日に開幕する第96回センバツ高校野球。8日には組み合わせ抽選も行われ、いよいよ球春到来も近づいてきたが、今大会の大きな注目ポイントといえば新基準の金属バット導入だろう。選手の安全を守るために基準が大幅に変更となり、従来の金属バットと比べると打球速度、飛距離ともにダウンしていると言われている。

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 昨年11月の明治神宮大会では北海が新基準のバットを使用して試合に臨んだが、延長10回で3安打、1点(タイブレークからの得点)に終わり、作新学院に1対2で敗れている。この変更によって打者は苦労し、ロースコアの試合が増えるのではないかという声も多い。

 そうなると特に注目されるのが新基準のバットでの第1号ホームランを誰が打つかという点だ。そこで今回は今大会に出場する中で、甲子園での一発が期待される強打者をピックアップしてみたいと思う。

 まずパワーヒッターという意味で双璧と言えるのがモイセエフ・ニキータ(豊川)とラマル・ギービン・ラタナヤケ(大阪桐蔭)の2人だ。昨年秋の公式戦での成績は以下のようになっている。

モイセエフ:17試合 63打数36安打6本塁打32打点 打率.571
ラマル:12試合 40打数19安打5本塁打21打点 打率.475

 ともに明治神宮大会でもホームランを放っており、モイセエフは高々と打ち上げ、ラマルは弾丸ライナーと全国の舞台でも見事なパワーを見せつけている。本大会では厳しいマークも予想されるが、その中でも豪快な一発を放つ可能性は十分にありそうだ。

 甲子園での実績という意味でナンバーワンと言えるのが正林輝大(神村学園)だ。昨年夏の甲子園でも4番で出場すると、初戦の立命館宇治戦でいきなり長打2本を含む4安打をマーク。その後の4試合でも全てヒットを放ち、チームをベスト4進出に導いた。また10月に行われた国民体育大会の北海戦でもホームランを放っている。夏の甲子園から試合が続いたことで秋は足を疲労骨折して万全の状態ではなかったが、その打撃技術の高さは高校生ではトップクラスだ。昨年夏には見せられなかった甲子園での一発に期待がかかる。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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