■福岡「E」

 昨季はクラブ初タイトルとなるルヴァン杯優勝を飾り、リーグ戦でもクラブ最高順位の7位でフィニッシュした。だが今オフ、躍進を支えたエースの山岸祐也、中盤を支えた井手口陽介が他クラブへ移籍。さらに高い能力を持つFWルキアンに、中村駿、三國ケネディエブスの貴重な控え選手たちも退団した。

 その穴を埋めるべく、正確なポストプレーで起点となれるFWナッシム・ベン・カリファ(←広島)、運動量豊富でサイドから仕掛ける岩崎悠人(←鳥栖)、ブラジルで鍛錬を積んだボランチ・松岡大起(←清水)を獲得。その他、GK菅沼一晃(←福岡大)、MF重見柾斗(←福岡大)の大卒新人を獲得し、MF北島祐二(←東京V)をレンタル復帰させた。

 構想では、山岸、ルキアンの代わりがベン・カリファと岩崎、井手口の代わりが松岡となる。一応の目処は付いており、しっかりと穴埋めの補強はした。だが、あくまで皮算用。やはりチームの核だった山岸、井手口が流出した時点でオフの補強査定は大きく下げざるを得ない。


■鳥栖「E」

 昨季14位のチームにテコ入れが必要である中、オフに目立ったのは退団選手たちの名前だった。昨季9得点を挙げて最前線で奮闘した小野裕二、サイドアタッカーとして自慢のスピードを見せつけた岩崎悠人以外にも、多くの選手がクラブを去った。

 ただ、その代わりに獲得した選手も多く、始動日の時点で全33選手中14人が新加入選手となった。その中で目立つのは、昨季J2で32試合に出場して守備の要だった上夷克典(←大分)、韓国人の大型CBキム・テヒョン(←蔚山現代)、左サイドのスペシャリストであるDF丸橋祐介(←C大阪)、切れ味鋭いドリブルでレンタル先の東京VのJ1昇格に大きく貢献した中原輝(←C大阪)、昨季J1で23試合に出場したFWマルセロ・ヒアン(←横浜FC)、昨季J3でプレーしたFWヴィニシウス・アラウージョ(←今治)といったところ。そして大学生3人とユースから2人を昇格させた。

 獲得人数は多いが、果たして実質的にどこまで戦力アップとなったのか。昨オフも選手の入退団が多く、クラブ規模的に仕方がない面があるとは言え、あまりにも入れ替わりの激しいチーム作りには疑念が湧く。優秀なアカデミーを有効に活用しながら、川井健太監督の手腕に期待したい。

(文・三和直樹)