楽天証券の武田成央さん(撮影/朝日新聞出版写真映像部・東川哲也)

 2月13日は「NISA(ニーサ)の日」。新NISAがスタートして早や1カ月以上が過ぎた。すでに手続きを済ませた人も、これからという人も、より理解を深めるために、いまいちど制度の内容を振り返ってみたい。過去に配信したNISAに関する記事のなかで特に読まれたものを再配信する。(2023年10月6日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)

【写真】新NISA「5年で1800万円投資vs15年で1800万円投資」元本割れした年は

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新NISAの非課税保有限度額1800万円は最短5年で埋めるべき? SNSでも話題の疑問について検証する。アエラ増刊「AERA Money 2023秋冬号」より。

 新NISAのつみたて投資枠の年間上限120万円と成長投資枠の同240万円を併用すると、最短5年で非課税保有限度額1800万円を使い切ることができる。

 ネット上では一部の人が「早く、長く、市場にお金を置くべき。よって5年で一気に投資するのが新NISAの正解」という意見を述べている。本当にそうなのか?

 楽天証券カスタマーエンゲージメント部(投資情報メディア「トウシル」編集長)の武田成央さんに意見を聞いた。

「1800万円を最短5年で埋めるためには、年間360万円もの資金が必要です。余裕資金がすでに数千万円ある人ならまだしも、投資において無理は禁物です」

 お金があるなら5年がいいのか、もっと長期がいいのか?

「過去のデータを見ると長期投資より5年投資のほうがいい結果になった例は多くありました。ただ、あくまで『過去』です。常に最短5年が正解とは言い切れません」

 先のことはわからないと言われると、ヒントにならない。他に考慮すべき点はあるのか?

「精神面で考えてみましょう。最短5年で投資し、6年目以降に暴落しても焦らずにすむくらいの余裕資金で投資しているかどうか」

 特に投資未経験者は、自分のお金が減っていく状況に慣れていない。仮に投資した1800万円が一時的に半分になった場合、買値に戻るまで気にせず待てるかどうか––––。自問してみよう。

現時点で正解なし

「5年がいいか、もっと長期がいいかという話ですと『人による』『今後の相場による』ということになり結論が出ません。現時点では正解がないからです。結局、投資期間が長いほど、理論上は収益がバラつきにくいという話なので……。

できるだけ損をしたくないという気持ちのほうが強い人は長期投資、リスク管理ができる人は短期投資という決め方もできます」

 そもそも5年がいいか、長期がいいかを迷っている時点で自分のリスク許容度を把握しきれていない可能性もある。

 上級者は「私は最短の5年。途中で半額になるかも? そんな可能性は当然承知しています」と、迷いがない。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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