審判に詰め寄る北朝鮮の選手たち(写真:AP/アフロ)

 まもなく暮れる2023年を、AERA dot.で読まれた記事で振り返ります。10月は、将棋藤井聡太氏が「八冠」を達成。大リーグの大谷翔平選手は、アジア人として初の本塁打王に輝きました。また、イスラエルではハマスが奇襲攻撃、現在も戦闘は続いています。AERA dot.では、中国で開催されたサッカーアジア大会での北朝鮮選手たちによる「ラフプレー」と、その背景を伝える記事「世界中があきれた『サッカー北朝鮮代表』の蛮行 なぜ選手は日本代表の『ドリンク強奪』までしたのか」が読まれました(肩書や年齢等は配信時のまま)。

【写真】審判を取り囲んで威嚇する北朝鮮選手たち

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 イエローカードが6枚、ドリンクの強奪、審判を威嚇──あきれ果てたサッカーファンは多かったに違いない。
 

 中国・杭州で行われているアジア大会では10月1日に男子サッカー準々決勝戦が行われた。日本は2−1で北朝鮮を下したが、北朝鮮はラフプレーを連発した。

 他にも、なぜか試合の途中で日本側のドリンクを強奪。さらに拳を突きあげてスタッフを威嚇するという信じられない行為をすると、すぐに審判がイエローカードを出した。

 そして試合が自分たちの敗北で終わると、選手たちは審判を追いかけ、囲むようにしながら激しく抗議。審判団はスタッフに護衛されながらピッチを後にした。これには日本のメディアだけでなく、海外のメディアも一様に「暴挙」と報じた。

 もちろんSNSでも北朝鮮代表を非難する投稿が相次いだが、その中には「敗北して帰国したら炭鉱送りになる」「処刑の可能性もある」など、真偽不明の指摘も散見された。

 なぜ北朝鮮の選手は、あそこまで荒れたのか。炭鉱送りなど厳しい処分が待っているというのは本当なのか、日本のドリンクを強奪するという“蛮行”までした理由は何だったのか。
 

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井荻稔

井荻稔

ライター。福岡県出身。大手新聞社で主にサツ回りとしてキャリアを積んだあと、主に週刊誌やネットメディアで記事を執筆。フィールドはカルチャーから政治まで広いがゆえに、逆に得意分野はなし。趣味は映画鑑賞と暴飲暴食。

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