ソフトバンクホークスへの移籍が決まり、記者会見する山川

 記者会見で笑顔はない。終始緊張の面持ちだった。

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 ソフトバンクが今月19日、西武からFA宣言した山川穂高の獲得を発表。福岡市内で入団会見を行った。山川は冒頭で「不祥事で西武ファン、球団、すべての関係者にご迷惑をお掛けし、申し訳ありません」と謝罪。ファンから厳しい言葉が出ていることについて質問が及ぶと、「厳しい声が上がるのは当然のこと。野球で結果を出して許してほしいとは思っていない。根本から変わるしかないと思っている。目の前の一つひとつの行動や言動に責任を持つ。今はそれに徹していきます」と硬い表情で誓った。

 福岡のテレビ局関係者は、複雑な表情を浮かべる。

「ソフトバンクファンから歓迎一色という雰囲気ではない。むしろ、獲得に踏み切ったことに批判の声が多いのが現実です。山川もその空気は察知しているでしょう。記者会見で笑顔が見られなかったのは当然といえます」

 山川とソフトバンクは数年前から「相思相愛」とささやかれていた。3度の本塁打王を獲得するなど球界を代表する長距離砲として活躍していたが、FAでマネーゲームとなれば西武は分が悪い。豊富な資金力を持つソフトバンクが移籍の最有力候補という見方が強かった。実際に昨オフ、山川は西武が提示した複数年契約を固辞して単年契約を選択。西武ファンは「FA権を取得して他球団に移籍するだろう」とあきらめムードだった。その流れが一変したのが、自身が起こした不祥事だった。5月に知人女性への強制性交の疑いで書類送検され、8月に不起訴処分(嫌疑不十分)に。この事態を受け、西武から無期限の公式試合出場停止処分が下された。今季の推定年俸2億7000万円から大幅減俸の単年契約を提示されたことが報じられたが、自身の不祥事でチームに迷惑を掛けたことを考えれば当然だろう。今季は17試合出場にとどまり、「故障者特例措置」による登録日数の加算でFA権を取得した。

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