阪神・岡田彰布監督

 38年ぶりの日本一に輝いた阪神。日本シリーズは第7戦までもつれたものの、レギュラーシーズンでは2位以下に10ゲーム以上の差をつける危なげない戦いぶりだった。一方でシーズンオフに入ってもドラフト以外に目立った補強はなく、新外国人選手のゲラと現役ドラフトオリックスから漆原大晟を獲得しただけというのが現状だ(12月15日時点)。そんな状態でも阪神は連覇を狙うことができるのだろうか。

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 まず結論から先に述べると、それでも連覇の可能性は十分に高いと言えそうだ。まず大きいのが阪神以外のセ・リーグで戦力ダウンしている球団が目立つという点だ。2位の広島はチームトップの打率、打点をマークした西川龍馬がフリーエージェントでオリックスに移籍。人的補償ではその穴はとても埋められるとは思えず、新外国人選手がよほど活躍しなければ得点力が下がる可能性は極めて高い。

 3位のDeNAもエースの今永昇太がポスティングシステムでのメジャー移籍が決定的で、バウアー、石田健大も退団となると3人合わせて約400イニングを埋める必要が出てくる。ソフトバンク戦力外になった森唯斗、オリックスを戦力外となった中川颯などを獲得はしているが、投手力のダウンは必至という状況だ。巨人ヤクルトは投手、中日は野手を中心に補強はしているものの、阪神との戦力差はまだまだ大きいという印象は否めない。阪神は主力が誰も抜けていないというのも強みと言える。

 もうひとつ大きいのが選手の年齢構成の若さだ。投手では33歳の西勇輝、野手では32歳の梅野隆太郎が最年長であり、主力選手の大半が20代となっているのだ(年齢は2023年の満年齢)。他球団を見ると広島は秋山翔吾(35歳)、DeNAは宮崎敏郎(35歳)、巨人は坂本勇人(35歳)、菅野智之(34歳)、丸佳浩(34歳)、ヤクルトは石川雅規(43歳)、青木宣親(41歳)、中日は大島洋平(38歳)、涌井秀章(37歳)、大野雄大(35歳)などまだまだベテランに頼っている部分が多く、それと比べても一気に成績を落とす危険性が低いことは間違いない。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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