降板した後ベンチで厳しい表情を浮かべる田中

 楽天田中将大が野球人生の岐路に立たされている。

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 今季は24試合の先発登板で7勝11敗、防御率4.91。日本球界に復帰した2021年から3年連続シーズン負け越しとなった。月別の防御率を見ると、7月が9.77、8月が4.15、9月が5.64、10月が5.40と真価が問われる夏場以降に復調の兆しが見られなかった。15被本塁打はリーグワースト。他球団のスコアラーは、投球内容をこう分析する。

「球威が落ちたと言われますが、直球の球速は140キロ台後半を計測している。ただ全盛期に比べるとキレが落ちた感じがしますね。直球で痛打を浴びるので、スライダー、スプリット、ツーシームを織り交ぜる投球になりますが、ボール球になる変化球を見極められるようになった。打者有利のカウントになると、走者をためたくないので球がストライクゾーンに集まり、長打を打たれる確率が高まる。しかしクレバーな投手なので修正してくるでしょう。直球の力強さ、制球力を取り戻せば、手ごわい投手であることに変わりはありません」

ゲームメーク能力の高さは健在だが…

 高卒1年目の07年に11勝をマークするなど楽天のエースとして活躍し、13年には24勝0敗、防御率1.27と驚異的な成績で球団創設初のリーグ優勝、日本一に貢献。翌14年にポスティングシステムでヤンキースに移籍すると、6年連続2桁勝利と名門球団の先発で稼働した。21年に8年ぶりに楽天に復帰。田中、岸孝之、則本昂大、涌井秀章(現・中日)と実績十分の投手たちがそろった先発陣は「黄金のローテーション」と形容されて優勝候補に推す声が多かったが、田中は4勝9敗、防御率3.01でチームも3位に終わった。ただ、打線の援護に恵まれない登板が多く、ゲームメーク能力の高さは健在だった。

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求められる20代の投手たちの奮起