今季限りで退任となった巨人・原辰徳監督

 今季は球界の盟主・巨人阪神の今までの立場が逆転したように感じるシーズンとなった。

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 阪神は「ARE(優勝)」を目標に掲げ、チームとファンが一丸となり38年ぶりに日本一を達成。一方、巨人は優勝争いから早々と脱落して2年連続Bクラスに低迷、原辰徳監督は任期途中での退任となり阿部慎之助監督が誕生することとなった。

「今シーズンの開幕前から目標や勢いに差があるように思えた。球団方針が明確化できていない球団との違いが出てしまった。完敗を認めざるを得ない」(巨人OB)

 熱烈なG党の徳光和夫氏をしても「正直、申しまして初めて阪神ファンに嫉妬したかな。良いチームと出会って応援できているなと感じたんであります」(11月11日ニッポン放送「徳光和夫とくモリ!歌謡サタデー」)とラジオ番組内で発言したほどだった。

 巨人は2019、2020年とセ・リーグ連覇を達成したが、日本シリーズではソフトバンク相手に2年連続の4連敗。その後のシーズンでも“名門の意地”をかけて日本一返り咲きを狙っていたが……。

「現状に満足していたわけではないだろうが方向性が良くなかったようだ。世代交代への危機感も薄くチーム編成のバランスも悪かった」(巨人OB)

 長年にわたって投打でチームを支えてきた菅野智之、坂本勇人の2人がベテランの領域に入り、岡本和真を除いて20代の選手が出てこない中で補強戦略に苦戦。2020年オフにはFAでDeNAから井納翔一と梶谷隆幸、2021年の開幕前には田口麗斗との交換で廣岡大志(現オリックス)をヤクルトから獲得するも期待に程遠い成績となるなど、外から上手く戦力を取り入れられなかった。

「(廣岡との交換で)ヤクルトに移籍した田口の活躍は目を見張るものがあった。(巨人の球団内では)編成部や他球団選手の調査をするプロスカウトに対して批判が出たのはいうまでもない」(巨人担当記者)

 若手は育ち始めてはいる。投手では戸郷翔征(23歳)がエース級の安定感を披露するようになり、今季10勝の山﨑伊織(25歳)を筆頭に赤星優志(24歳)、横川凱(23歳)、井上温大(22歳)らブレイクを期待できる選手が増えつつある。また、野手もルーキー門脇誠(22歳)、秋広優人(21歳)、中山礼都(21歳)など次代の選手が徐々に頭角を現しつつある。だが、世代交代が後手後手になってしまった感は否めない。

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他にも感じる巨人と阪神の“勢いの差”