2018年のドラフト2位で中日入りした梅津晃大も飛躍を期待したい一人

 球団史上初となる2シーズン連続の最下位に沈んだ中日。過去10年を振り返ってみてもAクラスは2020年の1回(3位)のみで、5位以下が8回と完全に低迷期と言える状況となってしまっている。ただ、投手では高橋宏斗が3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で好投。野手では岡林勇希が昨シーズンに最多安打のタイトルを獲得し、今年は2年連続となるゴールデングラブ賞に輝くなど、次代のチームを担う選手がいないわけではない。そんな彼らに続く来季のブレイク候補を探ってみたいと思う。

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 投手で真っ先に名前を挙げたいのが昨年のドラフト1位で入団した仲地礼亜だ。プロ初先発となった5月13日のヤクルト戦こそ1回(内容は2安打2失点)を投げ終えたところで左わき腹を痛めて緊急降板となったが、その後は二軍で結果を残して夏場以降は一軍でも先発ローテーションに定着。最終的に2勝5敗、防御率4.98という数字に終わったものの、5回以上を投げて無失点に抑えた試合も3度あり、ピッチングの内容自体は非常に充実したものだった。

 大学時代の全国での実績は3年春に出場した全日本大学野球選手権の1試合だけで、常に地方リーグだけで投げ続けていながら、1年目にプロを相手にこれだけの投球ができるというところにポテンシャルの高さがうかがえる。スライダーに加えてツーシームをマスターしたことで投球の幅が広がり、ストレートの力も確実にアップした印象だ。1年間を通じて調子の波を抑えることができれば、一気に先発ローテーションの中心となる可能性もあるだろう。

 投手でもう一人期待が大きいのが梅津晃大だ。ルーキーイヤーの2019年にいきなり4勝をマークしたものの、その後は度重なる故障で停滞し、昨年の春にトミー・ジョン手術を受けて長期離脱。今年5月に実戦復帰を果たすと、シーズン終盤には一軍に昇格し、9月25日の阪神戦では8回を投げて1失点の好投で3年ぶりに勝利投手となった。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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