こんな指ぬきみたいなサイズ、アメリカで売ったらクレームが来る!と義母が驚いた日本のゼリー(画像提供/筆者)

「日本に1カ月もいたら、絶対に痩せる!」

 そう言って来日したアメリカ人の義母が、1キロも痩せずに帰国していきました。こんなはずじゃなかったと首をかしげながら。義母に限らず、多くのアメリカ人は日本食はヘルシーだと思っています。実際、日本人の肥満率は世界でも低い方で、BMI25以上の人は人口の約27%。アメリカ人でBMI25以上の人は約68%、ざっと計算して3人に2人は肥満なので、それはもう雲泥の差です。けれども、日本食さえ食べていたらスリムになれるとは決して言い切れないと個人的には思っています。アメリカ暮らしから日本に本帰国して2年、1グラムも痩せていない私が言うんだから間違いありません。

 まず、日本で外食しようと思うと、かなりの高確率で揚げ物にぶつかります。ショッピングモールのフードコート、百貨店最上階のレストラン街、国道沿いの飲食店群、駅ナカの食事処を見回すと、半分くらいは揚げ物のお店です。テイクアウトも揚げ物中心です。スーパーの惣菜コーナー、デパ地下のデリ、持ち帰り専門店のお弁当、最近駅前に増えている唐揚げ専門店と、どこにいても油のにおいが鼻をつきます。

 さらに、ラーメン、丼ぶり、パンケーキなど、外食メニューは炭水化物の占める分量が多い。ヘルシーなイメージのあるお寿司も、半分は炭水化物です。この頃はたんぱく質が注目されて高たんぱくを謳う食品が増えてきましたが、それでも日本人の炭水化物愛は揺るぎません。ぎょうざ定食、お好み焼き定食、焼きそばパン、ポテトサラダサンドイッチ、さつまいもドーナツなど、炭水化物に炭水化物を重ねるメニューも数えればきりがありません。

 外食するからいけないんだ、家で作れば健康的だという意見もあるでしょうが、それはアメリカでも同じです。さらに、日本の家庭料理も案外糖分・塩分が多いものです。私は恥ずかしながら20代も後半になってからしっかりレシピを見て和食を作るようになったのですが、こんなにも砂糖を入れるものなのか! とその時初めて知りました。ヘルシーだと思い込んで惣菜店で買っていたきんぴらごぼう、ほうれん草の胡麻和え、卯の花など、自分で作ると、これだけ砂糖入れるのね……しかもみりんも! と、さじを操る手が震えます。アメリカの家庭料理はそこまで砂糖を使わないので、余計に意外性がありました。味噌汁、塩鮭、味付け海苔、たくあん、梅干しと、朝食やお弁当の代表的メニューには塩分も多いです。

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大井美紗子

大井美紗子

大井美紗子(おおい・みさこ)/ライター・翻訳業。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部英米文学・英語学専攻卒業後、書籍編集者を経てフリーに。アメリカで約5年暮らし、最近、日本に帰国。娘、息子、夫と東京在住。ツイッター:@misakohi

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