2023年のプロ野球ペナントレースは、すでに後半戦に突入している。連日にわたって熱戦が続いているが、開幕前の期待に背いて存在感を見せられていない選手も多い。それがベテラン選手となれば、どうしても「引退」の2文字がチラつくことになる。
気になるのは巨人の2選手だ。その内の一人、中島宏之は1982年7月31日生まれの41歳。すでに全盛期からの衰えは隠せないが、それでも勝負強い打撃は健在で、2019年の巨人加入直後の打撃不振を乗り越え、ここ数年は代打も含めて切り札的な存在として結果を残してきた。だが今季は、春季キャンプ終盤に右手親指骨折で出遅れると、ようやく7月8日に一軍初昇格を果たし、「6番・一塁」でスタメン出場した7月17日のヤクルト戦で3安打猛打賞をマークしたが、出場8試合(スタメン4試合)で7月28日に登録抹消となった。パワー、スピードの衰えを打撃技術の高さでカバーし、二軍では出場46試合で打率.250(96打数24安打)をマーク。まだまだ一軍でも通用する力は持っているはずだが、チーム内の若手の成長によって出番を失っている。
もう一人が、1983年5月17日生まれの40歳、松田宣浩だ。ソフトバンク時代から「熱男」としてチームを盛り上げてきた姿は、巨人に加入した今季も変わらないが、一軍での出場はここまで8試合のみ。開幕直後に代打での出場を重ねたが、9打数1安打の打率.111、4三振と結果を残せず、4月14日に登録抹消となった。二軍でも40試合に出場して打率.236(106打数25安打)、1本塁打、16打点という平凡な成績。常に声を出し、元気いっぱいの全力プレーを貫く姿は健在だが、開幕前に期待したのは「一軍」で活躍する姿だ。38歳の長野久義が7月に12試合に出場して打率.375(16打数6安打)と存在感を見せた一方で、松田は二軍暮らしが続いている。
1982年7月3日生まれ、41歳となったDeNAの藤田一也も、今季は出番が少ない。10年ぶりの古巣復帰となった昨季は、代打の切り札としてシーズン33試合に出場。打率.250で5打点をマークし、代打の切り札としてお立ち台に上る試合もあった。だが、CSファイナルステージで最終打者となった悔しさを晴らすべく迎えた今季は、7月11日の一軍昇格から4試合に代打出場(5打数1安打)したのみ。現在、チームの「左の代打」としては楠本泰史が活躍中で、「守備固め」としては柴田竜拓が機能している。二軍では出場27試合で打率.341(41打数14安打)の高打率も、一軍では存在感を示すことができていない。