「ジャガーポーズをお願いします」という記者からのお願いに、笑顔で応える浅野拓磨(写真・上田泰世/朝日新聞出版写真映像部)
「ジャガーポーズをお願いします」という記者からのお願いに、笑顔で応える浅野拓磨(写真・上田泰世/朝日新聞出版写真映像部)

2022年W杯カタール大会1次リーグのドイツ戦で決勝ゴールを挙げた日本代表FWの浅野拓磨(28=ボーフム)が、著書『浅野拓磨 奇跡のゴールへの1638日』(朝日新聞出版)の発売を記念したサイン本お渡し会に登場した。

【写真】1冊1冊に心を込めて、丁寧にサインをしていく浅野拓磨さん

*  *  * 

 FIFAワールドカップでドイツ代表との初戦、途中出場から劇的な決勝ゴールを決めた浅野。『奇跡のゴールへの1638日』はロシア大会からの落選、セルビアやドイツでの挑戦を記した一冊となっている。 

 実際に本を手にして真っ先に感じたのは「歩んできた4年半を、すべて集めた1冊。自分が夢にしていたものが、叶ったからこそできたもの。喜びを感じましたが、まだまだやらなきゃいけないなと改めて思いました」と話す。

■ワールドカップが終わって1番残っている「悔しさ」

 食もトレーニングであり、「食事1つにおいても自分にとっては勝負だ」と話す。妥協しないように1日1日を過ごし、勝負飯は?と聞かれると「炭水化物を多めに摂りエネルギーを補給して試合に臨みます」と言いながら、「お肉が大好きなので、日本に帰ったらすぐ焼肉食べます」と、はにかむ。

 浅野の人生は、カタールのワールドカップに出場して変わったと思う人は多いはずだ。ワールドカップは、 他の何もかもがどうでもいいぐらいなるほど絶対に行きたいと思っていた場所。「たどり着くためにできることは、本当にすべてやろうと思い人生をかけていました。そこにたどり着くことができたことは、自分にとっても大きな喜びと、何にも変えられないものを得ることができた」と話したが、すぐに「これっぽっちも満足していない」とも言う。

 「ワールドカップが終わって 1番残っているのは悔しさ。ゴールをあげることはできましたが、そんなことを忘れるぐらいワールドカップの後は、悔しさしか残っていませんでした。でも、その悔しさを得ることができたことが1番、自分にとってこれからの成長に繋がると思います」。

 悔しさを経験するともっと成長していきたいと強く思う。悔しさをバネにするというのは幼いときからだ。

「悔しい経験をすればするほど、燃える性格。悔しさはまったくマイナスなことではない。悔しさを味わえば味わうほど、次の試合で絶対に自分がヒーローになるんだって、心の底から本当に思います」と語気を強めた。

次のページ