イラスト/ウノ・カマキリ
イラスト/ウノ・カマキリ

 言ってみれば、ふらりと公園を訪れるように、日常的に誰もが気軽に来られる、明るく開かれた場所なのである。

 さらに、にぎやかなだけではなく、不安なときや誰かと相談したいときにも訪れたくなる、静かでゆったり過ごせる場所にしたいとも強調しているようだ。

 私はこれまでにも、インクルーシブという言葉は何度か目にしたことがあり、その意味もわかっているつもりでいた。だが、インクルーシブを具現化した施設を実際に見たのは初めてであった。

 いろんな障害のある子どもたちも自由にのびのびと遊び、あるいは学べる場。まさに見事にインクルーシブが具現化されていて、私は心底感動した。いつまでもこの場にいたいという気持ちが強く芽生え、去るのがつらかったほどである。

 その後、私は山形市長の佐藤孝弘氏と会って、いろいろ尋ねた。佐藤市長は47歳の若さで、しかも2期8年目だという。どうすれば25万人の山形市民が前向きで張りのある生活を送れるのか。それを実現するために奮闘し、それこそ張りのある毎日を送る佐藤市長の話は、私までいや応なく前向きにし、気持ちに張りを持たせてくれた。ともかく、とても印象的な一日であったのである。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

週刊朝日  2023年5月26日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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