ツイートした人の中には、チョコパイを買いに行ったという人、実際に食べた人、チョコパイの写真や、チョコパイと羽生さんのグッズを一緒に撮影した写真などを載せる人もいた。

 その直後となる4月4日の「しあわせの日」。ロッテはチョコパイ発売40周年を迎え、4月4日が「まぁるい幸せ チョコパイの日」として認定登録されたことを祝し、全体を金箔でコーティングした「金のチョコパイ」が当たるプレゼントキャンペーンを展開した。これにも羽生さんのファンらが反応した。

 ソチ、平昌2連覇の五輪金メダリストである羽生さんには、金色のイメージがある。「チョコパイ」発言と「金のチョコパイ」のタイミングがたまたま近かったため、両者が結びつけられた。

ロッテと羽生結弦さんの「8年の縁」

 チョコパイを販売する製菓大手・ロッテと羽生さんには長年の縁がある。羽生さんは2014に同社と広告契約を結び、「キシリトールガム」やチョコレートの「ガーナ」の広告キャラクターとしてCM出演などをしていた。契約はすでに終了しているが、今もロッテ製品に羽生さんを想起するファンは多い。


 今回、チョコパイが注目を集めたのは、当のロッテにとっても予想外のことだったようだ。これについて、ロッテ宣伝企画担当に話を聞いた。

「羽生選手の発言でチョコパイがトレンド入りしたことは、社内でもすぐ話題になりました。


 突然のことだったのでチョコパイの担当も、私たち宣伝に関わる人間も『えっ!?』と驚きました。羽生選手が当社の商品名を挙げてくださったのは非常にうれしいことです。同時に、ファンの方たちからの反響の大きさを改めて感じました」(発言は以下、ロッテ宣伝企画担当)

 なお、スターズ・オン・アイス開催前に、ロッテから羽生さんにお菓子を送ったり、コミュニケーションを取ったりというアプローチはなかったという。

スケートの大会にチョコやホカロンを差し入れ


 羽生さんが過去に広告キャラクターを務めたのはキシリトールガムやガーナなどの商品だった。広告契約を結んでいた当時から、彼がチョコパイ好きだという話はあったのだろうか。
 
「具体的にチョコパイの名前が出たことはありませんが、契約当時、CM撮影のタイミングでお菓子の詰め合わせをお贈りした際には、羽生選手がすごく喜んでくださったと聞いています。スタッフに素敵な表情を見せてくださったと」

 プロ野球で「千葉ロッテマリーンズ」球団を持つロッテには、スポーツを応援するカルチャーが社内にある。フィギュアスケートに関しては、2006年から日本スケート連盟のサポートを続けており、2022年から5期目となっている。 

 スケーター個人については羽生さんのほかにも、荒川静香さんや村主章枝さん、浅田真央さんらと広告契約を結びサポートしていた。

 日本スケート連盟主催の大会には自社商品の差し入れも行ってきた。お菓子の中で選手に人気なのは、「アーモンドチョコレート」。小分けの商品には、「便利、重宝している」という声もあるそうだ。

 携帯カイロの「ホカロン」も届けている。アイスリンクは冷えるため、スタッフにも人気で、差し入れのリクエストとして挙がることもあるという。このような差し入れを通じて、ロッテの商品はスケーターや関係者にとって馴染みのあるものになっているのかもしれない。

 羽生さんとの契約は2014年から8年に及んだ。近年ではほかにはないほどの長さになったという。ファンの側にも長い期間をかけて、「ロッテ=羽生結弦選手」のイメージが浸透していったと思われる。

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CM撮影時の羽生さんの様子は