※写真はイメージです。本文とは関係ありません
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 地元を離れるのは、簡単なことではない。今回お話を聞いたレナさんとアリサさんは、大学進学を機に親元、地元を離れて都市部に出ている。アリサさんは振り返る。

「母は自分が高卒で就職して悔しい思いをしたことから、四年制大学には絶対に行きなさいという教育方針だったのですが、県外にいくのは親も親戚も大反対。願書を出すギリギリまで電話がかかってきて『地元の大学じゃダメなの?』『県内でひとり暮らしして、通えるところにすればいいじゃない』といわれました」

 アリサさんには高校生のときから将来就きたい職業が明確にあり、それに向けて資格をとるプランも立てていた。そのことは尊重されず、ただ地元にいることを求められる。押し切って大阪の大学に進学したアリサさん、ここではじめてのびのびできたのではないだろうか。

「それが、頭のなかにずっと親や親戚がいるんです。親がすぐには来られない遠くにいて、誰にも見られてないとわかっていても、ずっと口を出され干渉されている感じ。苦痛でしたね。そのうち、不思議なことが起きたんです。洋服がピンクやパステルカラー、フリルやレースといったファンシーなものばかりになってしまって……。地元にいるときは干渉されたくない、女の子らしさやかわいらしさを押し付けられるのを嫌って、ずっと無地で黒色の服ばかり着ていたんです。幼児がえりみたいなものですかね。同時に、私こういうのが実は好きだったんだと気づいて、少し泣いて、自分のなかの小学生の女の子が成仏した感じです」

 レナさんは、大学の夏休みで帰省中に、水害に見舞われた。

「そのときは隣近所の人が声をかけあって物資をフォローしあったりして、地元のよさも感じました。つながりが密なのって、いい面も悪い面もありますよね。就職後に親元を出て地元でひとり暮らしという人もいますが、見ていると出たいのは親元ではなく地元そのものなのだろうなと思います。でも出たい気持ちがあっても、給料が全体的に低いので貯蓄もできない、ひとり暮らしをはじめる資金を貯めることもできない。タイミングもむずかしいですよね、進学や就職、それから結婚など、わかりやすいタイミングでないと、なんで?って言われちゃう」

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地元のつながりのよさも…