地元開催のアイスショーで「メリー・ポピンズ」のプログラムを舞う真央さん(今年8月、名古屋市)(c)朝日新聞社
地元開催のアイスショーで「メリー・ポピンズ」のプログラムを舞う真央さん(今年8月、名古屋市)(c)朝日新聞社
浅田真央の軌跡(週刊朝日 2017年11月10日号より)
浅田真央の軌跡(週刊朝日 2017年11月10日号より)

 大型スクリーンに映し出される真央さんの過去の演技を見ながら、ハンカチで涙をぬぐう人がいる。すすり泣きの声も聞こえる。

【リストはこちら】浅田真央の軌跡

 東京・日本橋高島屋で9月に開催された「美しき氷上の妖精 浅田真央展」。

 会場内のスクリーンルームは平日なのに立ち見の人が通路まであふれている。15分ほどの映像が終わると、拍手が湧き起こった。

 スタッフによると、ある70代の女性は13日間の開催中、6日間も足を運んだという。ボードには3回も真央さんへのメッセージを書いた。

 会場に一人で来ていた93歳の女性は、

「真央さんには神様が宿っている」

 と感想を述べたという。

 50代の女性は、真央さんがこの先どんな選択をしてもずっと応援していきたいという。引退は残念だったが、真央さんが13歳ぐらいのころからずっと見てきたので家族のような気持ちで引退の決断を受け入れた。

「真央さんって、あえて困難な道を選びますよね。できないかもしれないところに挑んでいくというその生き方は、すごい」

 40代の女性は、真央さんを見ているだけで泣けてくるのだという。

「ね。これは何なんでしょうね。真央さんの全てに心動かされる」

 埼玉から来た男性(65)は、真央さんと同じくこの日が誕生日。

「彼女はやり遂げた。おじさんは、励まされた」

 会場で流していた映像の真央さんのコメントに感動したという。その言葉とは、

「覚えているのは、引退会見が終わって外に出たとき、すごい桜が満開に咲いていて、祝福してくれているのかな、と」

 引退会見が行われた4月12日を、真央さんの衣装デザイナーの安野ともこさんはこう振り返る。

次のページ