たが・みきこ/東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てフリーのジャーナリストに。海外経験も豊富。『ソニーな女たち』『親たちの暴走』など著書多数(撮影/写真部・高野楓菜)
たが・みきこ/東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てフリーのジャーナリストに。海外経験も豊富。『ソニーな女たち』『親たちの暴走』など著書多数(撮影/写真部・高野楓菜)

■NPOとのタッグ大事

──英国では孤独対策にNPOが活発に動いています。

 日本はどちらかというと行政組織が強く、他国のNPOと比べて自立できないような仕組みになっています。ただ、行政サービスも多岐にわたり、手に負えなくなってきているので、地方自治体の多くが、孤独・孤立や女性の性被害やひきこもりなどの問題解決をNPOに頼っているのが現状です。

 孤独・孤立対策をするのに一番大事なのは多くのNPOとのタッグです。善意だけでは活動できませんから、国家はNPOが安定的に活動できるような伴走役としてあらねばと思います。補正予算と来年度予算案で63億円を用意し、孤独・孤立対策に取り組むNPOへの支援を行います。支援を継続し、こうしたNPOの仕事が日本の新しい仕事として根付いてほしい。2月末には、各種相談支援機関やNPOなどの連携の基盤となる全国的なプラットフォームを設立します。

──日本の社会制度は申請主義のため、支援を必要としながらもどこにもつながることができずにいる人たちも大勢います。

 私は、息子が重度の障害児で、福祉がないとやっていけないので(役所に)申請に行きますが、申請する立場からすると、行政側には「お前サービス探し出してこいよ、見つけたら(申請を)受けてやる」的な印象がある。行政は、さまざまな制度やサービスを用意していて、そういうつもりじゃなくても、障害児の親からするとね、どんなに重度で日々大変でも自分から動かないといけない。

AERA3月7日号から
AERA3月7日号から

■孤独もプッシュ型支援

 もし仮に病院で重度の障害のある子が生まれたことが市町村で共有できていれば、すぐに「あなたのお子さんにはこういう福祉制度がありますよ」とプッシュ型の支援ができるのに、今のところそういう仕組みはなく、当事者が手探りで探さないといけない。生活保護なども、受けたくてもどうしたらいいかわからないと思うんですよね。

 孤独・孤立対策では、支援を求めに来るのを待つのではなく、誰もが身近に相談窓口を持てて、アクセスできることを考えていきたい。プッシュ型支援については、(23年度に創設予定の)こども家庭庁で妊娠期から一緒に歩いていこうとしているので、それを孤独・孤立対策にも結び付けたいと考えています。

(構成/編集部・深澤友紀)

AERA 2022年3月7日号より抜粋