茨城県北茨城市の大津漁港では「ゴミオフin大津港」と称した大規模なゴミ拾い活動が昨夏から始まった。呼びかけたのは福島県白河市の高崎智央さん(44)。親子3代の釣り好きで、10代から同漁港に通ってきた。

「以前からゴミは拾っていましたが、お盆休みにはすごいゴミの量で一人ではとても拾いきれませんでした」

■黙認に誠意で応える

 ツイッターで呼びかけたところ、釣り仲間や漁協の職員、近隣のコンビニのオーナーなども賛同してくれた。昨年8、9月、12月と回を重ねるごとに参加者が増え、3回目には140人ほどの釣り人や地元住民が参加。集まった軽トラ5台分のゴミの中には家庭ゴミも含まれていたが、半分は釣り人によるゴミではないかと高崎さんは嘆く。

「大津港は30年近く通う思い入れのある場所。震災でも打撃を受けたけれどいろんな人の尽力で復興した。漁港を思う気持ちは釣り人も一緒。漁協の人たちは(釣り人の存在を)黙認してくれています。それにどう誠意で応えるか、だと思うんです」

 YouTubeで人気の釣りチャンネル「ちゃんねるよしゅあ」を運営するよしゅあさんも、釣り人のマナー向上に気を配る。

「僕自身気をつけているつもりでも、つい注意事項の看板を見落としたり、事前の確認不足で釣り場のルールを破ってしまうことはあります。同じような人を減らせたらと思い、動画内では各釣り場の禁止事項やルールを毎回詳しく伝え、清掃パートも設けるようにしています。事態を改善して、釣り場を一つでも多く後世に残していきたい」

 海に囲まれたこの国で長く受け継がれてきた釣り文化。その未来は一人ひとりの釣り人の良識にかかっている。(編集部・高橋有紀)

AERA 2021年1月18日号