札幌開催計画について、東京都オリンピック・パラリンピック準備局は、本誌の取材に「あまりにも一方的で唐突な形で発表されたと認識しています。これまで都内各自治体や都民が準備に励んできたところで、われわれとしては東京でという気持ちに変わりはありません。今月末に開催される調整委員会において、組織委員会とも連携しながら、都民をはじめ、多くの関係者に対する十分な説明を求めるとともに議論していきます」と回答した。「暑さ対策」不足という指摘には、こう回答した。

「アスリートファーストの視点は重要であり、これまでもIOCのメディカルコミッティーや日本医師会などのアドバイスを受けながらしっかり対策を講じてきています。具体的には、選手向け暑さ対策としては、組織委員会において、一部競技における開始時間の繰り上げなどの取り組みを行ってきました。また、都においては、マラソンコースを含む都道への遮熱性舗装等の整備などの取り組みを行っています。さらに、都としては、観客向けの暑さ対策として、五つのテストイベントを活用し、ハード・ソフト両面から試行検証を行っているところであり、引き続き本大会に向けて更なる検討を進めています」

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、「選手の健康は、組織委にとっても最重要事項です。組織委としては、来るIOC調整委員会で、東京都とも連携し、本件関係者と議論をいたします」とコメントしている。

 一方、一昨年と昨年、東京五輪のマラソンと競歩のコースで「暑さ指数」の実測を行い、熱中症予防の観点からスタート時間繰り上げ等の必要性を訴えていた中京大学の松本孝朗教授(環境生理学、61)は札幌開催を歓迎する。

「熱中症予防の観点からは、間違いなく条件はよくなります」

 松本教授は今回、環境省が発表している東京と札幌の「暑さ指数」で、8月6日の10年間の平均値を計算。6~9時の平均値は札幌が東京より4.61度低いという結果が出た。

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