2月の調査では、政策重視の傾向が数字にも表れた。甘利氏の辞任で安倍内閣のイメージが変わったかという問いへの答えは「変わらない」が61%で最多。その理由を尋ねると「安倍内閣の政策とは関係がないから」が45%で最も多かった。

「政策に期待できれば閣僚スキャンダルは影響しない傾向がある。第2次安倍内閣発足以降の無党派層の平均支持率は2割台で、高支持率が続いた小泉内閣の平均よりも10ポイント少ない。また、常に男性の支持が高く、男女比で女性は15ポイント以上低いこともあります。特に、自民党支持の高齢男性は安倍内閣の強固な支持基盤となっており、基本的にここは動かない。無党派層や女性の動きが支持率に影響している可能性が高い」(世論調査部記者)

 過去最低となった昨年9月の支持率は、女性支持がガクンと落ちたことで、全体が押し下げられた。

 有権者の投票行動に詳しい学習院大学法学部の平野浩教授(政治心理学)は、安倍内閣の支持層についてこう分析する。

「民主党政権への失望の反動として、安倍政権は強い、頼りがいがあるという印象が醸成されています。野党が反安倍政権の受け皿になっておらず、自民党内にも“ポスト安倍”がいない。安保法制、アベノミクスなど個々の政策に対して収斂(しゅうれん)した対案もない。その状況で支持しないと表明するには、相当の理由とパワーが必要になる。そうした消極的な支持も含めた支持率になっていると考えられます」

 ただ、安保法制反対デモのように「目に見える形の反対意見」があると、不支持表明への心理的ハードルは下がる。つまり、消極的支持層が「多くの反対意見がある」と実感することで、政治的態度を変化させることがあり得るという。(アエラ編集部)

AERA  2016年3月7日号より抜粋