被災地で子どもたちと海鮮丼を食べる安倍首相。これもイメージ戦略か/2月21日、宮城県塩釜市 (c)朝日新聞社
被災地で子どもたちと海鮮丼を食べる安倍首相。これもイメージ戦略か/2月21日、宮城県塩釜市 (c)朝日新聞社

 重要閣僚の辞任、株価下落、閣僚の失言……マイナス要因は数あれど、なぜか下がらない安倍内閣の支持率。不可思議な現象の背景を探った。

 金銭授受疑惑による甘利明・前経済再生相の辞任は安倍内閣への大打撃になる──。多くの人がそう思う中、実施された1月末の世論調査。ところが、内閣支持率は逆に上昇した。読売新聞が2ポイント、共同通信が4ポイント、毎日新聞では8ポイントも上昇し、いずれも内閣支持率は50%を超えた。

 日本銀行のマイナス金利発表後の金融市場の混乱で株価が急落した2月の世論調査では、読売新聞=52%(前回比4ポイント減)、産経新聞とFNN=48%(横ばい)、共同通信=46%(7ポイント減)、時事通信=46%(1ポイント増)と、多くで支持率は下がったが、依然として50%近い。朝日新聞は2ポイント減の40%だった。

 なぜ、安倍内閣の支持率は落ちなくなったのか。朝日新聞世論調査部は、現内閣の支持層は「政策を重視する傾向にある」と分析する。

 東京都内の大学に通う女子学生(21)は就職活動中。アベノミクスの恩恵をひしひしと感じている。民主党政権時代に比べて、大企業の求人数は増え、ゼミの先輩は証券、金融などの大手企業に就職。ことしも大企業が毎週のように学校訪問に来るので、希望が持てる。物心がついたときからずっと不況と言われ続け、友達の父親が大手電機メーカーをリストラされて悲しむ姿も見た。

「とにかく経済が安定する社会になってほしい。野党は、重箱の隅をつつくような批判ばかり。それでは、世の中はよくならないと思います」

 昨年夏には安保法制に反対する学生団体「SEALDs(シ ールズ)」が大きなムーブメントになったが、これに賛同できなかった。政治に関心がある学生は、誰もデモに参加しなかったからだ。なぜもっと法案を理解しようとしないのか。あのやり方では反対派の賛同も得られない。そんな思いでデモを見ていたという。

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