ルネッサンス、アメーラ、アイコ、つやぷるん、キャロル7、チェリースノーボール、イエローグレープ......。これらは、すべてトマトの品種名。トマトは日本人の最も好きな野菜No.1 に7年連続で輝いているそうです。



 今はごく一般的なスーパーでもいろいろな種類のトマトが売られるようになり、どれにしようか迷ってしまうほど。実は世界には8000種以上の品種があるといわれ、日本で登録されているのは"たった"106種なのだとか。



 夏野菜としてのイメージが強いトマトですが、実は日本では春から初夏にかけてと秋が最もおいしい季節。つまり今まさに旬を迎えるわけです。食をテーマにした雑誌『dancyu』と人気テレビ番組『満天☆青空レストラン』(日本テレビ系)がコラボしてできた『dancyu満天☆青空レストラン 2016 Spring ニッポンレシピ』(プレジデントムック)には、そんなトマトをめぐる話が数多く掲載されています。



 なかでも千葉でフルーツトマトを栽培する「ファッショントマトハウス深野」のご主人・深野俊郎さんは、最近の日本のトマト事情をこう語ります。



「何かと糖度の高さばっかり注目されっけど、トマトは果物じゃねぇ。野菜なんだよ!」



 深野さんは、甘さで勝負するのではなく、バランスのよさを重視して、無農薬、無肥料でおいしいトマトを育てているそうです。



 本書には、深野さんのような産地の名人の声や、生産者だからこそ知っている旨いレシピも盛りだくさん。トマトだけでなく、新玉ねぎ、にら、新じゃが、セロリと春野菜のおいしさが野菜の作り手の思いとともに伝わってきます。



 また、『満天☆青空レストラン』のレギュラー出演者で、日本各地を飛びまわる芸人の宮川大輔さんは、「毎回『うま~い!』と叫んでますが、ホントに旨いんですよ」(本書より)と本音を吐露。さらに、ロケの日には朝ご飯を抜いて臨んでいるというエピソードも披露しています。



 食材にまつわるストーリーを聞けば、おいしさは倍増。『孤独のグルメ』とはまた別の、読むとおなかが空いてくること必至の一冊です。