原発をこの国のベースロード電源と決め、海外へ売り込もうとしたくらい安倍首相は力を入れていた。辺野古米軍基地は、安倍首相がアメリカと約束してしまったことだ。

 結局、みんな頭の意向に妄信的に従っているだけでは? そこに国民は不在だ。再び原発が事故を起こしたらこの国は大変なことになってしまうとか、辺野古の軟弱地盤にさらに果てしなく血税を突っ込む羽目になるとか、は考えない。

 誰一人引き返そうとせず、愚かな戦争に突き進んだあのときと一緒だ。

 馬鹿なリーダーは、これまでのルールの意味がわからない。なので、無視することも厭(いと)わない。あからさまな「yesマン」を引き上げ、自分に異を突きつける人は隅に追いやる。そしてこういう世の中が形成される。

 組織は頭から腐るというが、もうこの国はダメかもしれない。

週刊朝日  2020年2月28日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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